- 発行日 :
 - 自治体名 : 福井県勝山市
 - 広報紙名 : 広報かつやま 令和7年10月号No.851
 
■中耳炎について
JCHO福井勝山総合病院
耳鼻科診療部長 杉本 千鶴
「中耳炎」とは、鼓膜の奥にある中耳という空洞で炎症を起こした状態です。
いくつかの中耳炎がありますが、その中で最も多く、一般的に中耳炎といわれているのが急性中耳炎です。鼻やのどの細菌やウイルスが、鼻の奥から中耳へとつながる耳管を通って中耳に入り、炎症を引き起こします。子供は大人よりも耳管が短く水平に近いため、鼻やのどの細菌やウイルスが中耳に入りやすく、中耳炎にかかりやすいです。症状としては、耳の痛み、発熱、難聴、耳閉感などがあります。中耳には膿がたまり、鼓膜が破れて耳から膿が出てくることがあります。治療は抗菌薬および解熱鎮痛薬の内服や耳の処置、必要に応じて鼓膜を切開して中耳の膿を出したりします。
急性中耳炎の後など、中耳に貯留液が残存しその結果きこえが悪くなるのが滲出性(しんしゅつせい)中耳炎です。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、アデノイド(咽頭扁桃)の肥大などがあるとかかりやすくなります。乳幼児や高齢者に、よりおこりやすい病気です。症状としては、難聴、耳閉感、自分の声が響くなどがあります。乳幼児の場合は耳症状を訴えないことが多いので、名前を呼んでも反応しない、テレビの音を大きくする、などの変化に注意しましょう。治療としては鼻から中耳に空気を送る耳管通気という処置をしたり、鼓膜を切開して中の滲出液を出したりします。治るまでに時間がかかる場合も多いので、根気強く通院することが必要です。以上の治療でよくならないときには鼓膜にチューブを入れる手術をすることもあります。
急性中耳炎や滲出性中耳炎は治りきらないと慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎などに移行し、手術が必要になることがあります。中耳炎は耳鼻咽喉科へ通院してしっかり治すことが大切です。
