くらし 西山動物園 開園40周年特集(5)

■ここがパンダフル!(7)たゆまぬ進化
西山動物園がこれからも皆さんに親しまれる動物園であり続けるために必要なことはなにか――。
《動物ファーストであること》
・野生でみられる行動や種の特徴など、「かわいい」だけでない、本来の姿を伝えていくこと
・憩いの場だけではなく、学びの場でもあること
・自然とのつながりを伝えること
・動物福祉に配慮した飼育管理

こうした今日的な課題に向き合いながら、求めらる社会的使命を果たしていくために、西山動物園は今後も進化を続けていきます。
「動物たちのクオリティオブライフ(生活の質)の向上を目指して、現在もさまざまな取り組みをしています」。そう話すのは、西山動物園と同い年で、長崎県出身の動物園スタッフ・村山友美さんです。
落ち葉を集めた遊び場「落ち葉プール」を個体に応じて作ったり、遊具を更新したり。餌を取りにくくする器具「フィーダー」を設置しているのはレッサーパンダの採食時間を延ばしたり、頭を使うことを促したりする効果があるとか。また、餌のリンゴをあちこちに置くことで、野生の探索行動も促進しています。
「環境エンリッチメント」。
動物福祉の立場から、飼育する動物たちの幸せな暮らしを実現させるための方策のことをこう呼びぶそうです。(エンリッチメントは「充実」を意味する英語)
環境エンリッチメントは、動物たちの行動の多様性を引き出すことにつながるといいます。
こうした視点も取り入れながら、園全体で工夫を重ねているからこそ、村山さんは「レッサーパンダだけでなく、ほかの動物たちにもぜひ注目してもらえたらうれしい」と話しています。
「西山動物園がどんどん変わっていてうれしいし、ワクワクする」。
「今後の変化が楽しみ」。
最近、ファンの皆さんからこのような声をいただくようになったのも、日々の取り組みの積み重ねかもしれません。
「動物を展示すること」で完結していた昔ながらの動物園。西山動物園はその一歩先を目指します。
市民やファンの皆さんにより身近で、よりアクティブで、より親しみやすい。今週末はそんな素敵な動物園に行ってみませんか。

■ありがとう!かえでちゃん
繁殖を目的に、石川県のいしかわ動物園に移動する個体(愛称…かえで)のため、3月2日に開かれたお別れ会の様子。(写真は本紙をご覧ください)
レッサーパンダは絶滅危惧種。希少種の保存も動物園の大切な役目の一つです。
(本紙17ページにも関連記事)