文化 ふるさとの誇り220 〇(まる)博レポート

■国重要文化財指定30周年!!(3)
人体文様付有孔鍔付土器 ぴ~すと仲間の正体に迫る!

▽不思議な土器―有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)―
今月号も引き続き、国重要文化財指定30周年を迎えた鋳物師屋(いもじや)遺跡出土品について、特に有孔鍔付土器に焦点を当ててご紹介します。
有孔鍔付土器は縄文時代中期(約5千5百年前〜4千5百年前)の山梨県・長野県を中心に東日本で使用されていた発見数の少ない土器です。有孔鍔付土器には、いくつかのルールがあり(1)土器の縁が平らであること、(2)小さい孔(あな)が土器の縁を1周していること、(3)「鍔」と呼ばれる出っ張り部分があること、の3点です。有孔鍔付土器とは読んで字のごとく、これらの特徴を表した名前なのです。その他の特徴として形や大きさの種類が豊富なこと、モデルがよくわからない不思議な文様が付けられることがあります。

▽表現されたものの正体は?
有孔鍔付土器の中には数は少ないですが、土偶なのか、カエルなのかよくわからない抽象的に表現された文様をもつ土器があります。鋳物師屋遺跡から出土した「ぴ〜す」を観察すると、土偶である「ラヴィ」と同じ文様が使われています(写真1・2)。共通しているこの文様は土偶のお腹部分にだけ使用される文様なのです。さらに顔面に注目すると「ラヴィ」と同じ目の形をしています。以上の特徴から「ぴ〜す」は土偶が貼り付けられた土器と考えられています。その他の有孔鍔付土器では、人のような形の文様(人体表現文様)がみられる例(写真3〜5)やカエルのような文様(図1)の特徴を持つ土器も極めて数は少ないですが確認されています(図2)。いずれの有孔鍔付土器も貼り付けられた文様は抽象的な表現となっていてはっきりと正体を探ることは難しそうです。伝承館で開催中のテーマ展では人にも土偶にも見える抽象的な不思議な文様が貼り付けられた貴重な有孔鍔付土器を複数展示しています。正体は何なのか?色々な角度から観察して考え、愉しみながらご覧ください。

(文・写真…文化財課)

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