- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県伊那市
- 広報紙名 : 市報いな 令和7年7月号
今回は、風物詩である各地区の夏のイベントや伝統行事、夏に楽しめるおすすめのスポットをご紹介します。
■せせらぎ水路 伊那公民館
伊那市役所の南側に位置する「せせらぎ水路」は、夏に涼を感じられる憩いのスポットです。木陰の小道とせせらぎの音が心地よく、のんびりと散策するだけで心が癒されます。水深が浅く、流れも穏やかなので、小さな子どもでも安全に遊ぶことができ、家族連れの方に特に人気の場所となっています。水路沿いには木陰も多く、ベンチで休みながら、涼しい風と水の音に包まれ、自然を感じてみてはいかがでしょうか。
伊那公民館では、毎年8月に子育て教室らっこルームで、この「せせらぎ水路」を使って、水遊びをしています。暑い夏の日に裸足で水に入り、水しぶきをあげて元気いっぱい、楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿が見られます。
みなさんも「せせらぎ水路」で自然の癒しと涼しさを感じてみませんか。
■星空観察会 富県公民館
富県公民館では、毎年星空観察会を開催しています。天体観察企画「すばる」の野口輝雄(のぐちてるお)さんを講師としてお招きし、天体望遠鏡で星空をのぞき、その様子をスクリーンに投影し皆で観察します。
過去の観察会では、土星の輪や月面の様子を観察することができました。また、野口さんの説明とともに「星にまつわる話」も聞くことができ、星や月についての興味が深まります。
参加者からは「きれいな土星の輪を見ることができ嬉(うれ)しい」「星の話が聞けて面白かった」といった感想が聞かれました。
今年は9月5日(金)に開催予定です。この日は月面観察をする予定です。興味のある方は富県公民館まで問い合わせてください。
■防災スポーツフェスタ 美篶公民館
昭和48年から約50年続いた美篶地区の区民運動会は、令和に切り替わり、スポーツの楽しさを通じて「防災」「減災」の知識を楽しみながら学べるイベント「防災スポーツフェスタ」として生まれ変わりました。
近年では台風や豪雨、地震等の被害が各地で起きています。災害時には、負傷者の搬送や救助、土砂や瓦礫(がれき)の撤去、土のう作りや土のう積み、消火器の操作といったことが求められ、周囲と協力しながら素早く冷静に行動することが必要になります。
予期せぬ災害に備えたイベントを通して「もしもの日」に何ができるかを考え、誰でも参加体験ができ、安心・安全を確保することのきっかけになればと思っています。
第一回目は令和5年度に約400名の区民が集まりました。令和6年度は台風10号の通過による悪影響が見込まれたことから中止となりました。今年度は伊那市総合防災訓練が美篶地区で開催されることに伴い、合同開催で、8月31日(日)に行う予定です。
■精霊(せいれい)の地「大和(やまと)の大桜」 手良公民館
手良野口地区に「大和の大桜」という桜の古木があります。その桜の木の根元に祠(ほこら)があり、毎年桜の満開時期に祠を代々守ってきた片桐一族による神事が執り行われています。今年も4月13日(日)に行われました。
この神事の根源になっているのが、諏訪大社で執り行われる御室(おむろ)神事と諏訪信仰の最古層にいる土地神「ミシャグジ」です。樹齢三百年以上と言われている大桜の古木の根元が「湛(たたえ)」と呼ばれる集落の聖地であると伝えられ、神事を行うことで「ミシャグジ」神が降りてきて、一年の五穀豊穣(ほうじょう)をもたらすとされています。
ドキュメンタリー映画「鹿の國(くに)」では諏訪信仰の一連の神事・行事を扱っており、その映画の中にこの「大和の大桜」が登場し、片桐一族の神事の様子が描かれています。
緑深まる季節に、映画で話題になっている「大和の大桜」を訪ねて、ミシャグジ神が宿る精霊の地の風情を味わってみてはどうでしょうか。
参考資料:「手良誌」「手良活性化だより」(220号)「諏訪の神様が気になるの」 映画「鹿の國」公式ガイドブック
■三峰川榛原(はいばら)河川公園 東春近公民館
今回は夏のおすすめスポットとして「三峰川榛原河川公園」をご紹介します。敷地内には芝生広場、マレットゴルフ場等を備えているほか、サイクリング・ジョギングロードの起点にもなっているので、さまざまな使い方で楽しむことができます。
なかでも、せせらぎ水路は夏にピッタリのスポットです。三峰川の水がとても冷たくて気持ちよく、流れもゆるやかに整備されているので小さなお子さんでもザブザブ入って楽しむことができます。東春近公民館の未就園児を対象とした講座「くれよんクラブ」でも、夏はせせらぎ水路で涼みながら遊んでいます。
令和5年には複合遊具が更新され、子どもから高齢者まで全世代が安心して楽しめる公園として親しまれています。ぜひ、ゆったりと涼みに訪れてみてください。
■大萱(おおがや)の百八灯(ひゃくはってい) 西箕輪公民館
八灯は、大萱地区に伝わる送り盆の行事で、毎年8月16日の夜、区の公園で行われています。
この日は、直径15センチメートルくらいの区民による手作りの布球(ぬのだま)が公園の周囲に吊るされます。周囲が暗くなると、この布球に火が灯されます。
この行事は、宵盆(よいぼん)に迎えた精霊を、盆中(ぼんぢゅう)、盆踊りや振り万灯(まんど)で慰めて、お盆の最後に百八灯で送り出す江戸時代に始まったとされる伝統的な習わしです。
暗闇に赤々とした火炎(かえん)を揺らめかせて108個の灯が燃える光景は幻想的で、井上井月(せいげつ)の生涯を描いた映画「ほかいびと」でも、画面いっぱいに映し出されています。