子育て 部活動の地域移行(3)

(山)スポーツ協会として、今回の取り組みで感じたことはありますか。

(加)スポーツ協会の加盟団体でありますサッカー協会は、昔からスポーツ教室を実施したり、東御JFCで小学生の指導を行ったりしているため、指導経験において、長い歴史があります。こうした長い指導経験のある種目であれば、他の競技においても移行を進めていきやすいのではないかと考えています。今回は、それを実行できた良い事例であったと思いますし、これから、そういった経験を他の種目にも活かしていけるのではないかと感じています。

(山)今回、新たに立ち上がったセレージャ東御ジュニアユース(中学生部門)の指導者を中村さんに担っていただいていおりますが、中村さんが指導者をお引き受けになった経緯などお聞かせいただければと思います。

(中)生まれ育った地元に恩返しをしていきたいというのが一番の理由です。私は、東御市で生まれ、幼いころ、サッカー協会のスポーツ教室などで、サッカーを教わってきました。そのおかげ、小中高大とサッカーを続け、大人になった今でもサッカーに携わることができています。私は、セレージャ東御に所属する前、他のクラブチームで指導者をしておりましたが、今回、小学生時代にサッカーを教わった恩師からお声がけをいただき、地元へ恩返しをしていきたいと思い、指導者を引き受けました。

(山)教育委員会では、保護者の方に対して、部活動の地域移行に関するアンケートを実施しました。そこで、地域移行に関して不安なことや心配することとして、活動場所までの移動・送迎の問題や月謝などの費用負担に関することがあがっています。今回、試行的な取組の中で、出てきた課題はどのようなものがあったでしょうか。

(池)やはり、アンケートと同じで、移動や送迎に関すること、費用負担に関することは、サッカーの移行を進めるうえでも、課題として出てきました。こうした問題は、直ぐに解決していけるものではなく、引き続き、関係機関が連携し、互いに知恵を出し合っていきながら、解決を目指していくことが必要だと考えています。今回、セレージャ東御を設立するにあたり、新たにユニフォームをつくる必要がありました。しかし、これまで部活動に所属していた生徒は、部活動に入部するタイミングでユニフォームを購入しているため、クラブチームでユニフォームをつくるとなると、保護者の方にとって大きな負担になってしまいます。そこで、学校に協力を依頼し、これまで学校部活動で使用していたユニフォームをセレージャ東御でも活用させていただくことになりました。このように、地域クラブと学校等が連携し、互いに協力しあうことが必要だと感じています。

(山)中村さんはどのような課題を感じましたか。

(中)地域移行までのスケジュールが非常にタイトだったことが課題であったと感じています。初めての取り組みであったこともあり、常に手探りな状態で準備を進めていました。他の種目で移行を進める際には、ぜひ、今回の経験を活かし、余裕を持って進めていただければと思っています。

(山)スポーツ協会としては、どのような課題を感じましたか。

(加)地域移行を進めていくためには、市内事業所の協力が必要と考えます。地域移行においては、指導者の確保が一つの大きな課題であります。専門的知識や技術を持った人材の確保です。市内事業所にはそういった方々がおいでになると思いますので、事業所のご理解とご協力をいただければと思います。また、お金のご支援を頂ければありがたいところですが、金銭的支援が事業所にとってメリットがあまりないので、なかなか援助につなげていけない状況です。また、地域移行の始まりは先生の働き方改革と言われており、確かにこのことも理由の一つですが、少子化の視点から考えると、チーム編成が出来ない種目が今後発生します。この対策として地域クラブ化がありますが、中学校部活動が存続する中での地域クラブ化はなかなか難しいと感じています。

(山)地域移行を進めていくには、送迎や費用など多くの課題があることを切に感じています。送迎や費用については、原則、保護者の方にご負担いただきますが、国や県の動向を踏まえ、行政の立場から支援していけるよう引き続き、検討を行ってまいります。
今回、サッカーの試行的な移行を行ってみて、得られたメリットや見えてきた課題がたくさんありました。これから、他の種目・競技においても、子どもたちの気持ちを大切にしながら進めていく必要があると思いますが、どのように移行を進めていきますか。それぞれのお立場からお願いします。

(盛)引き続き、生徒・保護者、学校、地域クラブ、行政などが、密に連携を取り合っていける体制を維持していくことが重要だと考えています。今回のサッカーでは、関係者が何度も何度も集まり、地域移行に向けて議論を行ってきました。地域移行を進めるうえで、一番大切なことは、やはり、生徒たちのことを最優先に考え、子どもたちが地域でスポーツや文化芸術活動を継続的に行っていける環境をつくっていくことだと考えています。そのため、これからも、各関係機関が互いに手を取りながら進めていきたいと考えています。

(池)校長先生がおっしゃるように、引き続き、各関係者同士で連携を深めていくことが重要だと考えています。そういったことでいうと、現在、学校部活動の外部指導者は、スポーツ協会ともつながりがあるので、連携がとりやすいのではないかと考えています。現在も、各競技団体の方々とヒアリングを行っているところですが、外部指導者の方々にもご協力いただきながら、移行を進めていきたいと考えています。

(加)地域移行を円滑に進めていくためには、関係者の連携ももちろん大切ですが、企業や市民の皆さんにもご理解いただくことも重要だと感じております。地域クラブの指導者だって、仕事をしておりますし、それぞれ家庭もお持ちです。地域クラブの指導を継続的に行っていくためには、企業の皆さんや各ご家庭の家族の皆様から理解をいただくことは必要不可欠ですので、今後は、そういったところにも力を入れて進めていければと思います。

(山)皆様、本日はお忙しいところどうもありがとうございました。他の種目の地域移行に向け、今後もご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

問い合わせ先:教育課学校教育係
【電話】64-5879