くらし 村長室から

2月は最強寒波の襲来で一面の銀世界となり、あまりの寒さに身も心も縮こまってしまいました。3月の声を聞き、少しずつ野山に春の足音を感じながら、桜の満開を待ちたいと思っています。

さて、1月・2月と予算編成や新年度の役場の機構改革について検討してきたこともあり、本稿では村の財政的な課題や持続性のある東白川村役場とするための機構改革について説明してまいります。
まずは村の財政状況についてです。村では財政状況を正確に把握するために資産・負債・単年度の収支状況・将来の展望などを一般企業と同じ会計基準で評価する公会計制度を導入しています。今回令和5年度の決算について委託先の会計事務所からの説明を受け、その結果、幾つかの留意すべき事項がありましたので公表の意味もあって説明してまいります。一般会計と国民健康保険特別会計を合算した決算で、減価償却費を除いた行政コスト(費用)は25.8億円かかっているのに対して、財源は31.3億円で一応黒字決算といえます。しかし、住民一人当たりの行政コストは193万7千円で、岐阜県平均や全国平均の倍近くになっており、小規模自治体の悩みがここにあります。
また、将来世代負担比率という数値は60.3%で、県平均や全国平均とは大きな差が出ています。人口が減少していく状況で借入金の返済が大きな負担となり、新しい政策やサービスを打ち出しにくくなることが予想され、今から財政健全化や収支の改善を目指す必要があります。
このように大変厳しい状況となっていますので、行政の効率化や不要不急の事業の見直し、老朽化施設の統廃合を進める必要があります。また、人口千人当たりの職員数も35.22人と可茂地区では突出した人数となっています。
そこで、令和7年度から行政の効率化と人員削減をしながら、現在の行政サービスを低下させないために役場の機構改革を実施します。
課の統廃合を進め縦割り行政の弊害を無くし、職員一人ひとりの能力アップを図り、行政コストのうち人件費の伸びを抑制することを目的としています。具体的には産業振興課と建設環境課、地域振興課の商工分野を産業建設課として一つの課とします。地域振興課にあった情報通信係は総務課の所管とします。次に村民課と保健福祉課、教育委員会の所管であった子育て支援係と保育園を統合し村民福祉課とします。
各課内での係間の垣根を取っ払い、事務効率を上げることを目的とした改革です。私は令和7年の仕事始め式で職員に、今まで3人で三つの仕事をしていたのを三つの仕事を2人でやる感覚で努力するよう求めました。村民の皆様には4月以降詳しくお知らせしてまいりますが、まず役場が変わり、地域が変わり、この厳しい過疎の小規模自治体が生き残るための始めの一歩を刻む年度としてまいります。

3月は締め括りの月です。令和6年度が大過なく順調に推移できたのも、村行政に対する皆様のご理解とご協力によるものと感謝申し上げ、新年度の準備を進めてまいります。

令和7年3月
東白川村長 今井俊郎