くらし 地域おこし 協力隊通信 Vol・24

今回は活動報告の代わりに、梅雨時期になると頭に浮かぶ、傘と雫(しずく)のハナシを。
答えはなく、問いを手渡すような文章ですが、雨の日のお供に読んでもらえたら本望です。

■傘の自由化とシェア上手な地域
「誰でも自由に使える1000本の傘と、戻しておける傘立てがあったら、突然の雨に濡れる人はいなくなるだろうか?」
ある自治体が実際に試した取り組みです。けれど結果は少し切ないものでした。善意の傘はやがて1本残らず無くなってしまったそうです。
一時の雨をしのいだ後、そのまま戻されることなく、おそらく今もどこかの玄関や物置で身動きがとれなくなってしまっている1000本の傘。
誰かが置いていった傘が、別の誰かを雨から守る仕組みはどうして持続しなかったのでしょうか。
行き場のなくなった傘を想うと、優しさがそっと連鎖していく社会を願いながらも、ときに身勝手な自分の姿に胸がチクリとすることがあります。

■泣けなかった青鬼
童話『泣いた赤鬼』で、人間と仲良くしたい赤鬼のために、悪役を演じ、その後姿を消す友人の青鬼のことがずっと気になっています。
「鬼同士ではなくて、どうして人間と仲良くしたいのだろう?」
やさしさの裏側。青鬼の目からこぼれる雫についてはページに描かれません。
もし物語に続きがあるとしたら赤鬼と青鬼はそれからどうしているのでしょう。

2つの話は「善意の循環」というテーマで繋がり、「誰かのために自分がどうあるか」を静かに投げかけ続けます。

キタムラジュン

参考
傘の自由化は可能か/大崎善生
泣いた赤鬼/浜田廣介

問合せ:くらしデザイン課
【電話】21-1209