- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県御殿場市
- 広報紙名 : 広報ごてんば 令和7年7月20日号
【III 変化】
◆保護司と出会って
「緊張してないでしょ?」
「緊張してます」
6月のある夜、保護司の芹沢さんと共に、仕事終わりの男性が駆けつけてくれました。過去に芹沢さんの保護観察を受けていて、更生した現在は運送会社で働いているAさん(20代・男性)です。
保護司と出会い、今どう変わり、どのように感じているのか。実際に保護司の支援を受け、更生への道を歩んだAさんにお話しを伺うことが出来ました。
◎保護司と出会い、素直な自分に
芹沢先生(以下、先生)と出会って私生活が変わりましたが、一番変わったのは、精神的な部分です。
裁判所で、保護司の先生には隠し事なく話すように言われましたが、その指導の通りに素の自分が出せるようになりました。以前は親と折り合いが付かず、家庭内でも萎縮してしまうことがありましたが、先生と出会い、月2回の面接などの支援を繰り返し受けているうちに、嫌なことや困ったことを素直に話すことが出来るようになりました。
親とは今でも同居していますが、性格が徐々にオープンになり、生活が安定してきたこともあり関係は良好で、一緒に出掛けることもあります。
◎目標に向かって頑張る毎日
現在お世話になっている運送会社は、朝が早く、夜明け前に出勤します。起きるのが辛い日もありますが、休まず働くことが出来ています。そのような中、将来、同じような運送会社を経営したいという目標を持つことが出来ました。先生の支援のおかげで更生が果たせ、真面目な生活を送るようになってから、この仕事や、会社を束ねて先導する社長を見て格好いいと思えるようになりました。目標に向けて、一日一日を頑張っています。
◎過去の過ちについて
過去に迷惑を掛けた相手には出来る限り償いました。過ちを犯してしまってからの動向を知らず、何も出来ない相手もいますが、今目の前にいたとしたら、素直に謝ることが出来ると思います。過去のような過ちは、二度としたくありません。
◎保護司への思い
先生と面と向かってお話しをするのが久しぶりなので緊張しますが、「ありがとうございました」の一言に尽きます。これ以上の言葉はないと思います。
◎地域生活を送るにあたって
過ちを犯してしまっても、保護司の先生と出会い、自分のように過去と向き合い、これからに向けて真面目に暮らしている人もいます。
当たり前のように受け入れることは難しいかもしれませんが、地域の一員として暮らしていることを理解してほしいと思います。
※本インタビューは、保護司の役割や働きを知っていただく上で重要であると判断し、Aさん及び北駿地区保護司会のご協力の下、芹沢保護司同席で行いました。
◆芹沢保護司から -Aさんと皆さんへ-
Aさんは、初顔合わせの時、自分から電話をしてきてくれました。更生の過程では「仕事を紹介して欲しい」と相談してくれ、やる気が見えてきたことで、私もやりがいを見出せました。更生はしましたが、今でも心配であることに変わりはありません。まだ若いので、何かやる時は調子に乗らず、冷静になって考えることが大切です。目標に向けて、真面目に頑張ってください。
罪を犯した人の過去は消しようがありませんが、社会復帰をした人は決められた償いはしています。偏見は持たず、普通の人と同様に付き合って欲しいと思います。そのことが更生にもつながります。
一方、例えば後遺症が残っているなど、償いようがない被害を受けた人のことを考えると、保護司としても複雑かつ難しい思いです。この問いに、どのように向き合っていくかがこれから先の課題だと思います。
《芹沢 眞成(まさなり)さん》
平成26年から保護司として活動。現在は保護司会研修部会長に就任。また、原里地区代表として、地域や学校での活動を実施。