くらし らしんばん

多世代交流拠点「谷戸山のいえ」

小山町長 込山正秀

元気に泳ぐこいのぼりを眺めながら「すがぬまこども園」の用地を現在の地に取得した当時のことを思い起こす。湧水池や田畑に囲まれ、近辺には樹齢400年と伝わる柿の木や、大正13年建築でかつて養蚕が行われていた空家があった。暮らしと産業の歴史が刻まれ、壊すには惜しい物件だった。幸いにも、地元で有効活用してくれるならと所有者が町への寄付を申し出てくれた。
当時、私はこども園に関連して二つの構想を描いていた。その一つが、古民家をうまくリノベーションして、地元の人々の活動拠点をつくること。これには明倫地域まちづくり推進協議会を中心にした皆さんが呼応してくれ、住民や園児たちに自然体験の機会を提供する活動が始まった。
建物と皆さんの取り組みの価値は広く認められ、リノベーション事業には国の交付金が適用された。多世代交流拠点「谷戸山のいえ」としてよみがえった。
構想のもう一つは、古民家周辺を活用し、こどもたちの五感を育てるのに最高の環境であることを前面に押し出した「森のようちえん」を開設すること。子育て世帯を中心とした本町への転入促進だ。現在進行中の世帯定着と転入促進に弾みをつけたい。