くらし 【特集】社会を明るくする運動(1)

■犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ
全ての人が望む平穏な暮らし。「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行の防止と、犯罪や非行をした人の更生について理解を深め、安全で安心な地域社会を築こうとする全国的な運動です。犯罪や非行をなくすためには、青少年の健全な育成や社会全体で罪を犯してしまった人に寄り添うことが必要不可欠です。
今回の特集では、再犯に関するデータや市内で活動を行う団体の取り組み内容・活動への思いなどを紹介します。詳しいことは、地域福祉課へお問い合わせください。
【電話】0533-95-0231

◇社会を明るくする運動
「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行のない明るい社会をみんなで目指す運動として、昭和26年に誕生しました。戦後、社会全体が混乱状態にあった日本では、戦争の影響による経済的困難から、犯罪や非行が激増。こうした社会問題への対処として、青少年の健全育成と犯罪をした人の立ち直りを支援する目的で、社会を明るくする運動が提唱されるようになりました。
犯罪や非行のない明るい社会をつくるには、罪を犯した人への直接的な関わり合いだけでなく、更生について知り、理解する人が増えていくことも重要です。犯罪や非行をした人を社会から孤立させない環境をつくることで、犯罪の抑制や更生の促進が期待されます。

◇市の取り組み
豊川市では、犯罪をした人の立ち直りを支える各種団体が協力して、社会を明るくする運動に取り組んでいます。おいでん祭などでの啓発活動に加え、毎年7月は、社会を明るくする運動の強調月間として、市内各地で啓発活動や中央図書館で関連図書のコラボ展示をしています。また、市内の小学5・6年生と中学生を対象に「社会を明るくする運動」の作文コンテストを行い、若い世代へ、この運動についての理解を深めてもらえるよう、取り組んでいます。

《豊川市社明運動推進委員会構成団体》
豊川市、豊川警察署、豊川商工会議所、豊川信用金庫、ひまわり農業協同組合、豊川市連区長会、豊川市民生委員児童委員協議会、豊川市社会福祉協議会、豊川少年補導委員会、豊川市青少年育成市民会議、豊川市小中学校PTA連絡協議会、豊川市子ども会連絡協議会、豊川市教育委員会、豊川市小中学校長会、豊川市少年愛護センター、豊川保護区保護司会、豊川市更生保護女性会、豊川保護区協力雇用主会

◇更生保護を知っていますか?
犯罪や非行をした人を社会の中で適切に処遇し、地域社会の理解・協力を得て、自立や改善更生することを助けることにより、安全安心な地域社会をつくることを更生保護といいます。刑務所や少年院を出ると、通常の社会生活を営んでいくことになりますが、地域社会の中で孤立すると再び犯罪や非行をしてしまうことも少なくありません。立ち直ろうと決意した人を、地域社会で受け入れていくことが重要です。

◇統計から見る支援の必要性
令和6年版犯罪白書によると全国の「刑法犯検挙人員」は、検挙された人の約半数が、過去に罪を犯した人であることが分かります。
次に、再犯をした人の就職状況を表す「入所受刑者のうち再入者の就労状況別構成比」では、無職の人は有職の人と比較すると男性は約2.4倍、女性は約6.4倍いることが読み取れます。また、仮釈放された人は、保護司などの支援を受けることになりますが、「令和元年出所受刑者の出所事由別再入率(5年以内)」を見ると、保護観察による支援を受ける仮釈放は、保護観察が義務付けられていない「満期釈放など」と比較すると、再犯率が低いことが分かります。
犯罪や非行をした過去を持つことで、社会の中で孤立し、再び罪を犯してしまうというケースが深刻な問題となっています。立ち直ろうとする人たちへの理解を深め、支援していくことで犯罪の減少につながると考えられています。

《令和元年出所受刑者の出所事由別再入率(5年以内)》
満期釈放など:43.6%
仮釈放:27.4%

《入所受刑者のうち再入者の就労状況別構成比(令和5年)》
男性無職率:29.5%
男性有職率:70.5%
女性無職率:86.5%
女性有職率:13.5%

《刑法犯検挙人員(令和5年)》
初犯:97,170人
再犯:86,099人

【出典】令和6年版犯罪白書