くらし 【特集】社会を明るくする運動(2)

■立ち直りを支援する人々
市内には、犯罪や非行をした人の立ち直りを支援する更生保護団体があります。
これらの団体は、地域社会の安全・安心と、未来を支える子どもたちの健やかな成長のために、少しでも役に立ちたいという気持ちから、相互に連携・協働して活動に取り組んでいます。

◇保護司
法務大臣の委嘱を受け、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える活動を行う、民間のボランティア。保護観察に当たるほか、犯罪や非行をした人が刑事施設や少年院から社会復帰を果たしたとき、スムーズに社会生活を営めるよう、釈放後の住居や就業先などの帰住環境の調整や相談を行う。豊川保護区保護司会では、現在、57名の保護司が在籍。

◇更生保護女性会
地域社会の犯罪・非行の未然防止のための啓発活動を行うとともに、青少年の健全な育成を助け、犯罪をした人や非行のある少年の改善更生に協力することを目的とするボランティア団体。豊川市更生保護女性会では、現在、291名の会員が在籍。

◇協力雇用主
犯罪や非行の前歴のために、定職に就くことが容易でない刑務所出所者などを、その事情を理解した上で雇用し、改善更生に協力する民間の事業主。豊川保護区では、協力雇用主会を組織しており、現在、20社の雇用主が在籍。

■インタビュー
◇皆が明るく笑顔で過ごせる社会に向けて
豊川保護区保護司会 会長 稲垣考俊さん
平成28年に町内会からの推薦を受けたことがきっかけで、保護司になりました。当初は保護司という存在をまったく知らず、任命を受けてから、保護観察所が主体となる研修を受講し、徐々に保護司としての仕事を知りました。保護司の仕事は、保護観察対象者と面談を行い、出所後の生活状況や働き先などの環境を調整すること。なかなか心を開いてくれないことが多いですが、面談を重ねるうちに、その人の人間性が分かってきます。立ち直るために、一緒に決めた約束事をきちんと守ってくれたとき、お互い信じ合って良かったと、とてもうれしく思います。また、担当した人が、再犯に手を染めず、社会に出て働き続けてくれることが何よりの喜びです。皆が笑顔で過ごせる社会にするため、保護観察対象者が再犯をしないよう、一番身近な理解者であり続けたいと思います。

◇大人と子どもが通じ合う地域に
豊川市更生保護女性会 会長 内藤幸子さん
平成26年から会長として活動を始めました。更生保護女性会は、更生保護活動、青少年健全育成活動、子育て支援活動の3つの柱を基本に活動しています。出所後に帰る場所がない人などを対象に、宿泊場所を提供する更生保護施設で、定期的に昼食作りのボランティアをしています。
また、子どもの栄養不足解消や地域の交流の場になってほしいという思いから、平成30年に市内で子ども食堂を立ち上げました。子ども食堂では、レクリエーションを一緒に楽しんだり、食事を囲んで会話をしたりすることを大切にしています。大人と子どもが顔見知りの関係であれば、犯罪のない明るい地域になると信じています。未成年の犯罪も多い今、子どもたちの笑顔を地域全体で守っていくために、これからも地道に活動を続けていきたいです。

◇就労を通して新たな一歩を
豊川保護区協力雇用主会 会長 倉橋智さん
地域のためにボランティアをしたいと考えていたとき、先代の協力雇用主会長から、誘われたことがきっかけで入会しました。協力雇用主会は、過去に犯罪や非行をしてしまった人を、保護司から紹介を受け雇用し、更生の支援をする団体です。職場での人との関わりは再犯を減らすために重要であると考えています。現在は、建設業の会員が多いため、職種を選択できるよう、他業種も増やしていきたいです。
また、「社会を明るくする運動」の啓発活動にも力を入れています。活動の認知度を上げるため、11月29日の「社会を明るくする運動推進大会」では、更生保護女性会と一緒に子ども向けイベントを開催し、多くの方に来てもらうよう準備をしています。更生保護に対する社会全体の理解を得るため、今後も啓発や雇用を通した活動を続けていきたいです。