くらし 再発見!わがまちの文化財・施設紹介 vol.225

■乳岩峡のコケ植物
新城市川合にある乳岩と乳岩峡は、国の名勝・天然記念物です。豊川の上流に位置し、鳳来寺山が近くにあります。乳岩峡一帯は流紋岩質凝灰岩地帯で、内陸山地でありながら、気候が温暖で、暖かい地域を好む植物が多く、植物の種類も豊富で鳳来寺山と相並んでよく知られています。
乳岩峡ではリュウキュウイクビゴケ、スズキイクビゴケ、イサワゴケ、キタガワシロクサリゴケ、マルバソコマメゴケといった全国的にも希少なコケ植物の生育が確認されています。また、流紋岩質凝灰岩中に石灰分が含まれているため、石灰岩を好むコケ植物も確認することができます。
乳岩峡には細い支流がいくつも見られますが、そのような支流に入ると、ホベリミズゴケが湿った岩上に群落を形成しています。ミズゴケの仲間は寒い地域でよくみられますが、ホソベリミズゴケは珍しく暖かい地域を好む種で、乳岩峡の気候が温暖であることの指標となります。また、川沿いでは樹木の枝から糸状に垂れ下がるキヨスミイトゴケを確認することができます。このコケ植物は湿度が高い場所を好む種で、乳岩峡が川の影響で高い湿度を保っていることの指標となります。乳岩峡に訪れた際は植物を見ながら、その環境について考察してみると面白いと思います。

問合せ:鳳来寺山自然科学博物館
【電話】35-1001