文化 伊賀一ノ井松明調進 歴史を繋いで777年

関西に春を呼ぶ東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)(お水取り)。3月12日~14日の深夜には「達陀(だったん)」の行法が繰り広げられ、堂内では煩悩を焼き尽くす松明が燃え盛ります。この松明は、古来より赤目町一ノ井から調進されています。
東大寺の文書によると、黒田庄領主の任にあった聖玄(しょうげん)という僧が、1249年に一ノ井の私田を寄進したのが始まりとされ、今年で777年目。地元には、「道観長者」という伊賀の国一番のお金持ちが、晩年に「松明を毎年、修二会に納めるように」と遺言したという伝承も残ります。
現在、地域住民で構成される「伊賀一ノ井松明講」を中心に、「春を呼ぶ会」など多くの人たちの協力を得ながら、この伝統が引き継がれています。

■二月、松明調整
2月11日、極楽寺(赤目町一ノ井)所有の松ら樹齢100年を超切り出し。名張高校も応援に駆けつけ檜は、昔からの規格せて丁寧に調整されます。

■三月、東大寺へ
午前11時ごろ、二月堂に上堂。奉納の議を受け、今年も無事、松明木が納められました。「松明は重いけれど、歴史はもっと重い。伝統を担うことは大きな誇り」と講長の森本芳文さん。松明木は1年間乾燥され、翌年のお水取りで用いられます。