くらし 特集 まちの見守り人〜民生委員・児童委員〜つなぐつながる支え合う(3)

■地域を見守る仲間とともに、民生・児童委員の活動があります
◇地域を見守り、関係機関につなぐことが役割
民生・児童委員は、地域住民の困りごとを直接解決するのではなく、行政やまちの保健室、社会福祉協議会などに情報をつなぐ「パイプ役」として活動しています。日頃から地域の人たちとのつながりを持つため、多くの委員が、高齢者サロンや子ども食堂、認知症カフェなどの地域活動に参加・協力しています。

■みんなで支え合う
名張市民生委員児童委員協議会連合会
会長 狩野(かのう)明義さん
民生・児童委員の任期は、1期3年と定められていて、今年12月に任期満了に伴う改選が行われます。地域の推薦を受けた後、県での審査会を経て、厚生労働大臣から委嘱されることになります。
団塊世代が75歳以上となり、地域の担い手不足が深刻化していく中、地域福祉の土台を支える民生・児童委員もまた、担い手の確保が大きな課題となっています。
そうした中、地域社会に多様なつながりを生み、互いに支え合える仕組みが求められています。

▽担い手不足にどう対応するか
「見守りが必要な高齢者が増えている一方で、定年後も仕事をする人も増えていて、民生・児童委員の担い手の確保が難しくなってきています」と話すのは、名張市民生委員児童委員協議会連合会の会長を務める狩野明義さん。「公募や居住地外への応援を可能にするなど、担い手確保に向けて柔軟に対応していく必要がある」と指摘します。
現在のところ、名張市は民生・児童委員の定員充足率は100%となっています。「市民のお互いに助け合おうという意識に加え、まちの保健室を中心に、私たちの活動をしっかりとバックアップしてくれて活動しやすいのも、この充足率につながっているのでは」と狩野さん。市から受託している高齢者実態調査の実施手法を市とともに見直すなど、負担軽減にも努めています。

▽人との出会いがやりがいに
民生・児童委員になって、2期目を務める人は半数ほどに留まります。現在6期目を務める狩野さんは、「相手との関係性を構築しきれない1期目の頃は、私も大変で負担感が大きかったのも確かです」と、これまでの経験を振り返ります。
「訪問時に無口だった高齢の男性がいました。私が2期目の頃には、男性から話しかけてくれるように。最終的に10年近く付き合った人ですが、幼少期からの生い立ちを何度も聴かせてもらいました。もう覚えてしまうぐらい…。亡くなる3カ月前、いつもの昔話を一通り話し終えた後、『毎回毎回、同じ話を聴いてくれてありがとう』とポツリ。ジーンと私の心を打ちましたね。2期、3期と続けているうちに、相手の気持ちに寄り添えるようになっていくのだと思います」
そんな狩野さんに、20年近くも民生・児童委員を続けている理由を伺うと「見守りをしている人との関係を深めていけることはもちろん、民生・児童委員同士が仲間として、切磋琢磨できるのがいい。人との出会いがやりがいにつながり、自分の生き方を見つめなおすきっかけにもなりました。続けてきて本当によかったと思いますよ」。そう力強く語ってくれました。

■互いに支え合える仕組みを築きたい
医療福祉総務室室長 金森
地域共生のまちを築いていくために、民生・児童委員はなくてはならない存在です。ただし、民生・児童委員の皆さんに大きな負担をお願いするということではなく、地域社会に多様なつながりが生まれるような環境を整え、互いに支え合える仕組みを築いていこうとしています。
不登校やひきこもりなど生きづらさを抱える人の背景は千差万別。それだけに、多様な人のつながりが必要とされています。市民一人ひとり(企業や関係団体なども含む)が、自分たちの強みを生かし、できる範囲の中で地域の活動に参加していただく。そして、やりがいを持って楽しみながら、つながることができる場があるといいですよね。

■民生・児童委員 QandA
Q どんなことを相談できる?
生活上の「心配事・困りごと」をお聴きします
高齢者
・家族の介護のことで悩んでいる
・ひとり暮らしで心細い
子ども
・子どものいじめや不登校が心配
・子育てに役立つ情報を知りたい
生活全般
・悪質商法かもしれないと不安
・経済的に生活が苦しく困っている

Q 秘密がもれないか心配…
守秘義務があり、秘密は守られます
民生・児童委員は、特別職の公務員として活動上知り得た情報について、守秘義務が課されています。この守秘義務は、委員退任後も引き続き課されます。

あなたの地域の民生・児童委員など詳しくは、医療福祉総務室(【電話】63-7579)へお問い合わせください