その他 海中さんぽ

■ウスバハギ
ウスバハギは、フグ目カワハギ科ウスバハギ属の魚で、定置網で漁獲され、主に活けで水揚げされます。その姿や顔つきから、当地ではラケットやウマなどと呼ばれ、カワハギよりも沖合に生息するため、沖ハゲともいわれます。また、アンカンと呼ぶ地域もあり、富山県の氷見(ひみ)も同じ呼び方をしているようです。全世界の温帯から熱帯にかけて分布し、水深260m以浅(いせん)の岩礁近くの砂底(さてい)に生息しています。
産卵期は初夏から夏で、幼魚期は流れ藻に付いています。エビカニ、ゴカイの仲間、貝類などの底性生物のほか、クラゲも餌にしています。釣りの外道としてもよく知られており、磯のグレ釣りでは、ふわーっと浮いてきて餌を取っていきます。近縁種(きんえんしゅ)のカワハギやウマヅラハギよりも大きくなり、大きいものでは76cmにもなるようです。旬は秋から冬にかけて、フグの代用品として用いられることもある、淡白な白身です。カワハギやウマヅラハギよりも大きいので、肉量も多く取ることができ、おまけに大きな肝があります。鍋や煮つけ、唐揚げ、フライ、干物など色々な料理に向いており、刺身は薄造りにし、もちろん肝醤油で食べても結構です。
長崎県では令和3年度からウスバハギの人工種苗を用いた試験養殖が行われています。冬の低水温には弱いようですが、成長が早く、たった4カ月の飼育期間で、体重700~800gの商品サイズになるため、新しい養殖魚として期待されていようです。