くらし 明日に向かって~差別をなくしていくために~

■太鼓にみる職人たちの息遣い-文化財課-
上野天神祭のダンジリ行事や獅子舞といった民俗文化財、伝統行事に欠かせないのが笛や鉦(かね)、太鼓といった和楽器です。とりわけ、軽妙に、時には低く響き渡る太鼓の音は、祭りや行事に欠かせないものです。
専門の職人により作られる和太鼓には、太鼓の縁や内側に、製作した職人や修理を担当した職人の名が記されることがあります。たとえば、上野天神祭のだんじり巡行の際に奏でるお囃子(はやし)に使われる上野東町の太鼓の縁には、嘉永5(1852)年の年号とともに、製作または修理に関わった「下郡村太鼓屋文七」の名が墨書されています。
また、年3回獅子舞が奉納される敢国神社では、獅子舞で使う太鼓を修理したところ、胴の内側に天保5(1834)年、明治2(1869)年、明治10(1877)年、明治14(1881)年の年号とともに「井筒屋□□嘉兵衛」「下郡村太こや文□」(□は不明部分)といった名前が記されていることもわかりました。現在も使われている太鼓が約200年前のもので、いく度か皮を張り替えて使われたことがうかがえます。
また、太鼓は時を告げる道具としても使われていました。伊賀上野城には現在の時報に当たる「時の太鼓」を納めた太鼓櫓(やぐら)もありました。時の太鼓は、武士や城下町の人びとに時を知らせる役割を果たしていました。この太鼓の修理を行っていたのも、当時の下郡村や浅宇田村の職人たちであったことが記録からわかっています。
そして現在、私たちの社会は、さまざまな人びと、さまざまな職業で成り立っています。日常の生活は、お互いに支えあっていることを、感謝の気持ちとともに改めてかみしめたいものです。

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