くらし 【事前対策!】地震が起きる前に 今、できること(1)
- 1/33
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県度会町
- 広報紙名 : 広報わたらい 2025(令和7)年8月号
いつ発生してもおかしくない南海トラフ地震。
今、地震が発生したら―
あなたはどう行動しますか。
突然やってくる地震に備えて、日頃から防災意識を高め、自分や家族など大切な命を守る準備をしておきましょう。
能登半島地震でお亡くなりになった皆さんのご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災された皆さんにお見舞い申し上げます。
■能登半島地震クラスがいつ発生してもおかしくない
マグニチュード7.6、最大震度7と甚大な被害をもたらした能登半島地震。私たちが住む地域にも、同等クラスの地震が今後30年以内に80%の確率で発生すると予測されています。
■なぜ南海トラフ地震が発生するといわれているのか
この地域を震源とした大規模地震が、100年~150年の周期で発生しており、前回の昭和19年の昭和東南海地震、21年の昭和南海地震から約80年が経過しています。
このことから、「いつ発生してもおかしくない」と言われています。
明日は我が身であることを忘れず、自分がその立場になったときに「どう行動するか」を意識しておくことが大切です。
■度会町の被害想定
南海トラフ地震が発生した場合、当町は最大震度7※1の揺れに見舞われると予想されており、理論上最大被害は、町内にある建物のうちおよそ1,500棟※2が全壊・焼失すると予測されています。
※1 三重県地震被害想定調査結果(平成25年度)
※2 度会町地域防災計画震災対策編(令和6年度改定版)
■支援活動を行った職員の声
能登半島地震について 現地で見た・聞いたこと
▼総務課 世古主事
派遣期間:令和6年1月22日~28日
○言葉を失った被害状況
それでも前を向く姿勢に勇気をもらった
私が石川県輪島市に到着したのは地震発生から3週間後の1月下旬。雪が降り積もる寒さの中、あちこちで住宅が倒壊し、道路は亀裂や地割れによる段差が生じるなど、目の当たりにした被害の大きさに言葉を失いました。
きっと被災された皆さんは不安や不満が募っているにちがいないと覚悟して派遣先に向かいましたが、温かく迎えてくれました。それぞれに辛さや悲しみを抱えている中で、「起こったことは仕方がない。これからどうするかだ」と前を向く姿勢に、こちらが逆に勇気をもらいました。
小学校が避難所となっていた派遣先では、主に仮設トイレや手洗いタンクなどへの給水や廃棄物の処理、物資の受け入れなどの作業にあたりました。そうした活動の合間に、さまざまな経験談を伺うことができました。
○まるで洗濯機の中にいるようだった
地震が発生したときは、これまでに感じたことがないほどの衝撃で、横だけでなく前後左右、まるで洗濯機の中にいると錯覚するほど大きく揺れたそうです。家具や食器も想定していない方向から飛んできて「寝ている孫を守るのに必死だった」という人もいました。
その後、地域の人たちは声をかけずとも自然と集まり、互いに救護活動などにあたりました。地域のリーダーを中心に、分担して作業にあたっており、コミュニティや横のつながりがしっかりしている印象でした。幸いにもガスが使えたため、みんなで食材を持ち寄り、調理して難をしのいだそうです。水や食料は備えている家庭が多い一方で、「トイレの確保に困った」と話す人が多くいました。災害用トイレの備えがいかに大切かを改めて実感しました。
現地で見たこと、実際に聞いた生の声と経験をいかし、町の防災力強化に努めていきたいです。
▼環境水道課 小林主事
派遣期間:令和6年5月13日~19日
○何気ない日常のありがたさ
私は5月に応援派遣で現地を訪れました。輪島市に近づくにつれ、路面状況が悪化し、車での移動も大変でした。また、市内各所で通行止めが解除されておらず、交通の復旧には依然として目途が立っていない状況でした。水道も断水しており、普段何気なく送っている“当たり前”の生活が、いかにありがたいものかを痛感しました。
輪島市内で営業していたスーパーでは、屋根や壁が崩れている状態の中、地域の人の生活を最優先になんとか営業されている状況でした。
○改めて実感する住宅の被害
私は現地で、被害のあった住宅などについて、全壊、半壊などの「被害の程度」を認定する業務にあたりました。調査は、内閣府の定める「災害の被害認定基準」などに基づき、被災者立ち合いのもと、実際に建物の中に入り、内壁や天井などの損傷の把握をします。この認定結果は、被災者が各種支援を受ける際の判断材料に使われます。
立ち合いされた人の中で、被災後すぐに避難所に行き、この調査で数カ月ぶりに自宅に帰ってきた人もいました。
外観は問題なくても、家の中は足の踏み場がなく、柱が想像以上に傾くなど、その被害の大きさに唖然としている様子で、間近で見ていた私たちもショックが大きかったです。
中でも多くみられたのが、2階建ての住宅で1階がつぶれて全壊している家でした。一方で、比較的新しい家は損傷が少ない印象でした。このことから住宅耐震の重要性を改めて認識しました。
○今もなお残る被害の爪痕
災害発生から約3カ月が経った被災地には、いまだに復旧の進んでいない地域が多く、復旧には一体どれほどの時間がかかるのだろうと、ただ息をのむばかりの光景が広がっていました。
今回の経験を通して、いつ発生してもおかしくない大地震に対して一人一人が常に防災の意識を持ち、被災した場合の体制を整えておく必要があると感じました。