くらし ~いざという時に役に立つ防災情報~

■VRやARなど中央大と共同研究開発中
ーデジタル技術を防災訓練や避難に活用ー

◇デジタル技術を用いた防災訓練や避難支援のシステムを研究開発中
町ではVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのデジタル技術を使った防災訓練や避難支援のシステムの実用化に向け、4、5年前から、東京都の中央大学理工学部都市環境学科海岸・港湾研究室の有川(ありかわ)太郎(たろう)教授と共同研究で開発を進めています。
VRは、専用のゴーグルで360度の映像を映すことで、実際にその空間にいるような感覚を得られる技術です。現実に体験するには危険な災害や火災などを擬似的に体験できるため、防災分野での活用も期待されています。
このほど試作モデルが完成したことから、町民がVR装置を使ってバーチャル空間を体験することで、実際に避難訓練に活用できるか実証実験を行いました。

◇VRを用いた訓練を実施
訓練は鵜殿地区で行い、地区外に住む20代~70代の25人が参加しました。大地震が発生し、10メートルの津波が10分で到達すると想定。役場防災拠点をゴールに、約300メートル離れた地点をスタートとしました。
参加者はVR1回、VR3回、VRトレッドミル(屋内型のランニングマシン)1回などのグループに分かれ、ゴーグルを付け、実際に頭や体を動かして最適な避難経路を示す矢印に沿って仮想空間を移動しました。翌日に、実際の道路でゴールを目指しました。

◇訓練を通して見えてきた課題と今後の目標
VRを1回だけ体験したグループは、現実世界の避難では防災拠点以外を選ぶ人も多く、「映像にリアリティがなく現実とリンクせず、経路を覚えていなかった」などの意見がありました。VRを3回体験したグループは、前日の経路通りに避難し、「映像で見た景色を覚えていた」と話していました。
有川教授は「回数を重ねると効果がありそうなことが分かった。さまざまな意見を聞いて課題が見えてきた。これまでよりスピードアップして開発を進められると思う。できるだけ早く実用化を目指したい」と話していました。
今後は、更に映像の精度を高めるとともに、津波の襲来やブロック塀の倒壊なども盛り込み、さらに実践的なシミュレーションができるよう改善していきます。
また、ARを活用した避難支援アプリも並行して開発を進め、デジタルを活用した防災力向上につなげていきたいと考えています。