くらし 近江妙蓮(おうみみょうれん)が市花制定50周年を迎えました

7月中旬から見ごろ、今年も美しい大輪で来館者を魅了

■盛夏の風物詩 近江妙蓮
▽妙蓮の由来と特徴
守山の盛夏の風物詩として、多くの人々に親しまれる妙蓮の歴史は古く、インドから中国へ伝わり、第三世天台座主(てんだいざす)・慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)(794~864)が日本に持ち帰ったと伝わっています。
一般的な蓮には雄しべと雌しべ、花托(かたく)(はちす)がありますが、妙蓮にはありません。一つの茎に2~12もの花があり、雄しべ・雌しべの代わりに2、000~5、000枚もの花びらをつけます。雄しべ・雌しべがないため、種子ができず蓮根(れんこん)のみで繁殖します。
この希少な妙蓮は古くから、皇室や公家、将軍家にたびたび献上されたと云われ、代々、近江妙蓮を守り伝えてきた田中家にはそれを伝える古文書群が伝わっています。

▽大賀 一郎(おおがいちろう)博士と妙蓮の復活
しかし、長い歴史を誇る妙蓮も、明治29年(1891)以降、開花しなくなった時期がありました。
再生復活を願う地元有志たちは、蓮の研究で有名な植物学者・大賀一郎博士(1883~1965)を招へいしました。博士の再生研究が身を結び、昭和38年(1963)に68年ぶりに見事開花し、翌々年の昭和40年(1965)に「大日堂の妙蓮およびその池」として、県の天然記念物に指定されました。

▽市花の制定と公園整備
県の天然記念物となって10年後の昭和50年(1975)、滋賀県で全国植樹祭が開催されました。生活環境の緑化の機運が高まり、市制施行5周年を迎えた同年、多くの市民さんの声を反映しながら、「市木」「市花」の選定が行われました。1週間で776件もの推薦があり、複数の候補の中から、市木に「クスノキ」、市花に「妙蓮」が選定されました。
貴重な近江妙蓮を保存、伝承することを目的に、平成9年(1997)、都市公園として「近江妙蓮公園」が整備されました。敷地には新たに妙蓮を移植した「瑞蓮(ずいれん)池」も造成され、毎年開花シーズンには多くの人々が訪れています。

■近江妙蓮保存会の会長・副会長にインタビュー
美しい宝の花を守り続ける
近江妙蓮保存会 田中喜史(たなかよしふみ)会長(中央)、遠藤秀樹(えんどうひでき)副会長(左)、南昭彦(みなみあきひこ)副会長(右)

約100戸の地元住民は皆「近江妙蓮保存会」の会員です。
市花制定や県天然記念物指定はとても名誉なことですが、私たちは地域の大人たちが近江妙蓮の池や大日堂をとても大事にしていたのを見ながら育ったので、子ども心に「特別な花」と刻み込まれています。
美しい花の季節は短いですが、妙蓮の管理と保存は、池の水管理や施肥、防虫、除草など1年中あります。特に6月の支柱立て、秋の刈り倒し(支柱を抜いて枯れた蓮を収集)の作業は、保存会の生育管理部会が総出で汗を流しています。とはいえ、花が咲かなくなった時期の話も聞いているので、蓮池の管理には万全を期しているつもりでも「ちゃんと咲くだろうか」「つぼみは膨らむだろうか」と、毎年心配になります。
近江妙蓮は地元住民の愛郷と誇りの象徴になっていて、大賀博士が名付けた他の加賀(かが)妙蓮や武蔵(むさし)妙蓮も見に行きましたが「うちの方がいい花や」と心の中で自慢しています。
近江妙蓮は大きくて重い花で、写真でも十分に美しく見応えがありますが、現地でなければ味わえない楽しみが「香り」です。特に外の花びらが開いた後の早い時期は複数の花が凝縮されているせいか、とても強い香りがします。
公園に多くの来館者が来てくれることが、私たちにとっての特別な花、近江妙蓮を後世まで守り、継承していく励みになります。

■市花制定50周年を記念してクリアファイルを配布
市花制定50周年を記念し、近江妙蓮のクリアファイルを制作して配布します。
日時:7月13日(日)~
※なくなり次第終了
場所:近江妙蓮公園、各地区会館、駅前総合案内所、守山市観光物産協会、うの家、市立図書館、北部図書館、もりやまエコパーク、大庄屋諏訪家屋敷など
※開館時間などは各施設へご確認ください。

■近江妙蓮 開花シーズン
▽近江妙蓮公園の入場案内
開園時間:午前9時~午後5時
・開花シーズン(入園有料、無休)
日時:7月4日(金)~8月3日(日)
※7月13日(日)~28日(月)は午前7時から開園、7月26日(土)~28日(月)は午後7時まで開園
料金:220円、小中学生・65歳以上・障害のある人110円、乳幼児無料
※20人以上は団体割引あり
・通常営業(入園無料)
日時:9月30日(火)まで(火曜日は休園)

▽近江妙蓮写真展を開催
日時:7月27日(日)~8月2日(土)
場所:近江妙蓮資料館 壁面(近江妙蓮公園内)

▽写真展 作品募集
出品条件:
・縦横45cm×30cm以内で、額(ガラス不可)に入れた状態で出品
・1人につき2点以内(過去に撮影されたものも可)
・展示期間終了後、作品を引き取りに来てください。
申込み:7月4日(金)~25日(金)に所定の用紙に住所、氏名、連絡先、作品の題名を記入し、直接、資料館 事務所へ。

問合せ:
・文化財保護課【電話】582-1156(近江妙蓮の歴史、保存会について)
・土木管理課【電話・有線電話】582-1134(近江妙蓮公園、資料館について)