文化 歴史の小窓ー学芸員のメッセージー239

■土器からみる中世の村々の交流
今から700~800年前の中世の村について皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。閉鎖的、もしくは村の中で自給自足をしているイメージではないでしょうか。それは一部正しいものの、野洲市は街道が通っていることもあり、各地と交流を行っていました。市内の発掘調査で出土した土器には交流がうかがえるものがあります。
写真(本紙参照)は山茶碗といいます。主に鎌倉時代に東海地方で作られたお碗で、この写真のものの内面には赤色顔料もしくは漆が付着しています。これは顔料や漆のパレットまたは容器として東海地方の職人が運んできた携行品と考えられます。
写真(本紙参照)は同様に鎌倉時代に兵庫県(東播磨地域)で作られた鉢で、内面はよくこすった痕跡があります。味噌や胡麻、山芋などの植物をすり潰したり、和え物などを作ったりするために購入し、使用されていたのでしょう。
このように土器の流通からも村々の交流を読み取ることができ、それが土器をみる醍醐味の一つでもあります。
下記の企画展では近隣市の出土文化財、画像記録もあわせ、古代から中世にかけて野洲川下流域の村々がどのように変貌し現在の集落が構成されてきたか、また村々の交流や暮らしの様子などを紹介します。ぜひ、ご観覧ください。
(博物館学芸員 渡邉貴洋)

■秋期企画展「野洲川下流域の暮らしの変貌-発掘調査にみる古代・中世-」
会期:10月4日(土)~11月24日(振休)午前9時~午後5時(入館/午後4時30分まで)
※会期中の休館日…月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカード等をご提示ください。)

問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413