- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県愛荘町
- 広報紙名 : 広報あいしょう 2025年5月号
1.「寺院由緒綴」とは?
本資料「寺院由緒綴(じいんゆいしょつづり)」は、昭和6年(1931年)9月に旧愛知川町役場で作成されたものです。もともとは愛知川町時代の埋蔵資料室の棚に保管されていましたが、その後当館へ移管されました。
また、本資料は「古文書」ではなく、「歴史資料」に分類されます。今回は、この歴史資料について簡単にご紹介します。
2.本資料について
本資料は、昭和6年9月17日に学務部長が愛知川町長に宛てた「寺院由緒ニ関スル件照会」に端を発するものです。学務部長が寺院の由緒を照会した理由として、
「寺院ノ由緒ニ付テ、廰備寺院明細帳ニ夫々記載有之候ヘ共、往々簡単ニ過グルモノ、或ハ不詳トノミアリテ執務上支障不尠場合モ有之候帖参考ニ資シ度」
つまり、「寺院の由緒については、庁舎に寺院明細帳が備えられているものの、内容が簡潔すぎて「不詳」としか記されていない場合があり、業務上支障をきたすことも少なくないため、参考資料として作成したい」と述べられています。
この照会を受け、愛知川町役場は昭和6年9月22日、寶満寺・等覚寺・蓮泉寺・専光寺・勝光寺・安養寺・願宗寺・光泉寺・順性寺・妙安寺・善明寺・大乗寺・了教寺・興禅寺・願龍寺・教得寺・常行寺・光澤寺などの住職宛に、「寺院の由緒・宗務・教学・事業・文学・芸術・演劇等に関する記載を依頼する」旨の通知を送りました。
その後、各寺院が作成した由緒書が提出され、それらをまとめたものが「寺院由緒綴」となり、現在に残されています。
3.最後に
今回は、本資料について簡単に紹介しました。
各寺院の由緒は、現在伝わっているものとほぼ同じ内容でしたが、中には什物(寺院に伝わる貴重な品)について記載した寺院もありました。昭和6年当時に存在していたものが、焼失・盗難・散逸などにより、現在は失われてしまった可能性も考えられます。
当館では、愛荘町の貴重な資料が散逸しないよう、神社・寺院・学校・個人などからの資料の寄託・寄贈を受け付けています。
資料の取り扱いにお困りの際は、お気軽に当館までご相談ください。
愛荘町立歴史文化博物館学芸員 新木慧一
■博物館展覧会開催中 令和7年4月12日(土)から6月1日(日)まで
展覧会名:楽‐GAKU‐
会場:歴史文化博物館企画展示室
開館時間:午前10時から午後5時まで(最終受付は午後4時30分)
休館日:月曜日・火曜日(ただし祝日の場合は開館)、祝日の翌日
ギャラリートーク:4月20日(日)、5月25日(日)午前11時~、午後2時~
入館料:大人300円、子ども150円(町内在住者の方は無料・要観覧券)