- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府舞鶴市
- 広報紙名 : 広報まいづる 2025年4月号 Vol.1070
■悠仁親王殿下が舞鶴引揚記念館にご来館
2月12日、悠仁親王殿下がご視察のため、引揚記念館を訪問されました。
今回のご訪問は、秋篠宮皇嗣同妃両殿下が平成29年4月にご訪問になり、その際、舞鶴市から「いずれ親王殿下にもご訪問いただきたい」とご要望をしていたものが実現したものです。
引揚記念館では、中学生から大学生までの学生語り部がユネスコ世界記憶遺産に登録されている白樺日誌や引揚港の模型などの資料を説明しました。
殿下は学生語り部の説明を熱心にお聞きになり、関心を寄せられていました。学生語り部もはじめは緊張していましたが、殿下の優しくにこやかなお声掛けを受け、同世代らしい和やかな交流の様子も見られました。
その後、学生語り部6人のほか、当時小学生や中学生として海辺や引揚援護局の慰問などで引揚者をお迎えした経験を持ち、今は「舞鶴・引揚語りの会」として活動している吉田かずこさん、谷口久乃さんと懇談されました。
最後に、平成6年に復元された復元引揚桟橋を鴨田市長と学生語り部の案内を受けながらご視察をされました。
■学生語り部の活動を通して見えた私の将来の夢
◇教壇に立ち、子ども達に語り継ぐ
活動を始めた当初は、原稿を丸暗記して来館者の皆さんに説明することで精一杯でしたが、今ではどのパートでもしっかりと説明できるようになりました。現在、教師を目指して大学で学んでいます。学生語り部の活動を通して培った人前で話す力や、相手に分かりやすく伝える力は、きっと教壇に立った時に役立つと思います。引き揚げの史実を語り継ぐ活動を通して得た経験を生かし、未来を担う子ども達に平和の大切さを教えられる教師になりたいです。
大学2年 谷口 逢友(あゆ)さん
◇記憶に残る博物館づくり
活動を続けるうちに、史実を語るだけでなく、来館者に歴史をより深く理解してもらうためには、展示方法や館内の構造など、さまざまな工夫が必要だと考えるようになりました。そこで、大学では博物館学を専攻し、展示の企画・運営、資料の保存方法などを幅広く学んでいます。将来は博物館の学芸員として、大学で得た知識と経験を舞鶴に持ち帰り、来館者がより見やすく記憶に残るような博物館づくりを行い、舞鶴の歴史と文化の継承に貢献していきたいです。
大学1年 平野 星那(せな)さん
◇コミュニケーション能力を生かす
人と話すことは好きでしたが、語り部の活動を始めたころは、初対面の人が何を求めているのかを瞬時に見抜くことは簡単ではありませんでした。しかし、経験を重ねるうちに、相手の表情などから、その人の関心や疑問をくみ取る力が身に付きました。将来は、地方創生に貢献できるような取り組みに関わりたいと考えています。語り部として培った「人と話す」力や相手のニーズを的確に把握する力は、地域の人と協力し、新たな価値を創る上で大きな財産になると思います。
大学1年 藤田 康輔さん
◇歴史学を深め、史実を継承
引揚記念館を訪れた時に語り部の説明を聞き、一人で展示を見るのとは違う、歴史の面白さに魅了され、学生語り部を始めました。子どもから大人まで、さまざまな年代の人が来館されるので、年齢に合わせて話の内容や話し方を変えるなど工夫をしました。また、分からないことは図書館で調べることで、知識も深まりました。この歴史の面白さをさらに学ぶため、大学では歴史学を専攻しています。将来は、学芸員か教師として、舞鶴の歴史を次世代につないでいきたいです。
大学1年 榊 瑞季さん
■中学生の学生語り部 ご視察での経験を糧に
私たち若浦中学校3年生10人は、昨年4月から語り部活動を始めました。今回、ご視察での説明という貴重な機会をいただき光栄に思います。当日はこれまで学んだ成果を発揮し、白樺日誌や抑留生活などの展示について丁寧に説明することができました。この経験を通して、私たちは限られた時間の中で大切なことを伝える技術を学び、語り部として大きく自信を深めることができました。今後も来館者に心を込めて、語り部活動を続けていきます。