くらし 令和6年度決算 あらゆる財源を有効活用 防災・減災対策、子育て支援を推進

市の令和6年度各会計決算案が10月6日、市議会で認定されました。人件費や物価の上昇など、社会情勢の変化に対応しながら、能登半島地震を踏まえた防災・減災対策や子ども・子育て支援を推進しました。

■歳入・歳出とも微減
一般会計の歳入は202億6428万円で、前年度比0・4パーセント減。歳出は202億5174万円で、同比0・1パーセント減でした。いずれも過去4番目の規模で、翌年度へ繰り越す財源を除いた実質収支は53年連続の黒字となりました。
歳入のうち、自主財源の柱である市税収入は47億139万円で、同比3・8パーセント(1億8702万円)減少しました。定額減税で個人市民税が減ったことが主な要因ですが、減収分は国の交付金によって補塡(ほてん)されています。

■木造住宅の耐震化促進も
歳出のうち、普通建設事業費は22億9629万円で、同比24・9パーセント(7億5988万円)減。あやテラスなどの大型公共施設の整備事業費が減少したためです。一方で、避難所の備蓄物資の充実や木造住宅の耐震化促進など、防災・減災対策を実施。また、子ども政策を推進するため組織を強化し、子どもや子育て家庭への包括的な支援体制づくりを進めました。さらに、地方創生臨時交付金など国の財源を活用し、物価高騰に伴う経済対策や市民、事業者へのきめ細かな支援にも努めました。

■物価高騰など背景に財調取り崩し
市債(借金)残高は、前年度より5億7428万円増え154億1620万円。ハード事業を積極的に展開したため、3年連続で増加しました。基金(貯金)残高は、3億458万円減の62億7119万円。国の人事院勧告に基づく職員の給与改定に伴う人件費の増や病院事業会計補助金の増などにより、財政調整基金(財調)を7年ぶりに取り崩しました。
財政の弾力性を示す経常収支比率は4・2ポイント悪化し、過去最も高い数値となりました。また、財政の健全性を判断する各指標は「これ以上悪化すると危険」な基準を下回り、全て安全圏内。実質公債費比率は同基準25パーセントに対して9・9パーセント、将来負担比率は同基準350パーセントに対し87・9パーセントと、いずれも昨年度と比べ改善しています。

■特別会計も黒字決算
特別会計7会計の総額は、歳入89億8129万円、歳出88億7039万円。実質収支は1億1090万円で、7会計とも黒字または収支均衡でした。
公営企業会計のうち、上水道事業会計は42年連続で黒字でした。下水道事業会計は、令和元年度の公営企業会計移行時から連続で赤字。病院事業会計も人件費や物価の高騰を受け、5年連続の赤字となりました。

◆財政用語の解説
◇経常収支比率
一般財源(市が自由に使える財源)に占める福祉施策経費や人件費など義務的な経費の割合。率が高いほど、自由に使える資金が少ないことになります。

◇実質公債費比率
市債(借金)の額が適正かどうかを判断する数値。一般財源に占める借金返済額の割合です。

◇将来負担比率
市が将来的に負担しなければならない可能性のある実質的な借金残高などを指標化したもの。一般会計に加え、各特別会計や第3セクターも含めた借金の額などを基に算出します。

◆会計別決算収支の状況