文化 《特集1》秋祭の三重奏(4)

■山本の百味(ひゃくみ)と湯立(ゆだて)
~100種類の野の幸を供え、湯を振りまく~
「山本の百味と湯立」は、佐牙神社の山本御旅所(おたびしょ)で毎年10月に行われます。
朝、佐牙神社(宮津地域)から山本御旅所(三山木地域)まで神輿が巡行すると、約100種類の農産物が「百味」として神棚に供えられます。
その日の夜に行われる「湯立」では、巫女(みこ)が笹で釜の湯をすくい、参拝客に振りかけて無病息災を願います。平成6年、田辺町(現京田辺市)無形民俗文化財に指定されました。

日時:10/12(日)午後7時から
場所:佐牙神社山本御旅所
公共交通機関で来場してください。

◆祭の流れ
◇1.神輿の渡御(とぎょ)
〔佐牙神社から山本御旅所へ巡行〕
当日の朝、佐牙神社を出発した2基の神輿は、太鼓を打ち鳴らしながら、約2km先の山本御旅所を目指して巡行します。以前は、重さ約80kgある神輿を氏子が担いでいましたが、高齢化する関係者の負担軽減のため、人力から台車へ、そして6年前からはトラックで神輿を運んでいます。

◇2.百味
〔野菜・果物・穀物が神棚にずらり〕
神輿が御旅所に到着すると、氏子から集められた野菜・果物・穀物など100種類以上の「百味」を、5段の神棚に所狭しと並べて供えます。手前の桶には、当日夜に行われる「湯立」の湯が供えられます。
・傘持ちや刀持ち、「宝物」と呼ばれる箱を頭上に載せた人など約20人が列をなして御旅所まで巡行します。(本紙の写真は20年前の様子)

◇3.湯立
〔巫女が舞い、湯を振りまく〕
かねと太鼓の音に合わせて、巫女が神楽(かぐら)を舞いながら、大きな釜の湯に酒・塩・米を順番に入れます。巫女がひしゃくですくった湯を、神官が神棚に供えると、つかの間の静寂が訪れます。巫女が両手に笹を持ち、湯をすくって高く上げる所作が静寂が破られる合図。かねと太鼓が激しく鳴り響き、ダイナミックに笹が振りまかれます。参拝客から沸き起こる歓声と悲鳴、響き渡る拍手。巫女が手を止めると、湯気に包まれ見えなくなっていた巫女の姿が再び現れます。こうして湯立は終わりを告げます。
これまで厳しい表情だった巫女の顔が一変、和やかになり、参拝客に鈴を鳴らしながら無病息災を願います。