- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府大阪市港区
- 広報紙名 : 広報みなと 令和7年7月号
~これまでもこれからもこの地域(まち)と~
港区には、地域ごとに紡がれてきたまちの物語があります。区制100周年を機に、その過去と今を語り合い、これからの未来をともに思い描くインタビュー企画をお届けします。
■池島地域
池島地域は、港地区復興土地区画整理事業により基盤整備が進み、市営住宅など中高層住宅を中心とした居住エリアが形成されました。昭和46(1971)年には自治省(現・総務省)のモデル・コミュニティ地区に指定され、近隣センターも整備。大阪湾岸部の住宅供給地としての役割を担ってきました。そんな池島地域で、永年地域活動に携わる松尾さんにお話を伺いました。
◇始まりは、池島小学校PTA
松尾さんが地域活動に深く関わるようになったきっかけは、池島小学校のPTA組織の立ち上げでした。昭和50(1975)年、三先小学校と八幡屋小学校から池島地域の児童を収容するかたちで池島小学校が開校します。しかし、開校当初はPTA組織が存在していませんでした。三先小学校で実行委員を務めていた松尾さんは、PTAの立ち上げに力を注ぎます。「いろんな学校から資料を取り寄せて、会則を作るところから先生方と一緒に取り組みました。何もないところからのスタートだったので、本当に大変でしたね」。
それから時は流れ、池島小学校は今年で創立50周年。松尾さんも現在、記念事業の準備に追われています。しかし、少子化などの影響により池島小学校の児童数は減少しており、令和11(2029)年には八幡屋小学校、港晴小学校との統合が予定されています。「仕方のないことですが、やはり寂しさはありますね。歴代の先生方も皆さん本当にいい方ばかりで、思い出がたくさんあります」。
◇「何事もみんなで」が池島流
池島地域での大きなイベントは、毎年11月23日に催される「池島ふれあいまつり」。もともとは児童養護施設『海の子学園池島寮』の主催でしたが、「お手伝いをするうちに、これは地域を挙げて関わろうということになって、今では地域との共同で開催しています。ほかにも、グラウンドゴルフ大会や盆踊り、敬老大会など、一年を通じて地域住民が交流できる行事が池島にはたくさんあリます」と松尾さん。そして、どんな行事も「みんなで一丸になってやるのが池島らしさ」と言います。「何事につけても池島は、どこかの組織が勝手にやるのではなくて、みんなに声を掛ける。ネットワーク委員会や女性会など、いろいろな組織が集まって会議をして、一緒にやる。それだけつながりが密だということです」。
自身も、他の地域から来た人がすぐなじめるように、「誰にでも分け隔てなく、誰とでも仲良く」を心がけているという松尾さん。ただ、高齢化で地域活動に参加する人が減っていることを懸念しています。「子どもの数も減っていますし、市営住宅ももう少し若い世代の方が増えたらいいなというのが、池島の願いです。そうなればもっと地域も活性化すると思います」。
◇未来につなぐ地域のバトン
松尾さんは、女性の教養と地位向上をめざす大阪市地域女性団体協議会にも長年にわたり携わってきました。三先地域の女性団体協議会に参加していたことから、池島地域でも女性団体協議会を立ち上げ、自らは書記に就任。市の女性団体協議会でも会計監査を務めてきましたが、そちらは昨年3月で勇退し、これからは池島地域の未来について考えたいと言います。「池島の女性団体協議会は、これからも大切に存続させたいと思います。いろいろな行事には個人でも参加できますが、やはり声を掛け合える団体があったほうがいい。頼まれると断れない性分で、これまでたくさんの地域活動に長くかかわってきましたが、そろそろ誰かバトンを受け取ってくれる方がいるといいなと思います」。
◇松尾フサ子さん
昭和10(1935)年、現在の岡山県倉敷市(児島地域)生まれ。結婚を機に大阪市港区へ移り住む。港保育所の役員をきっかけに、池島小学校PTAの立ち上げなど、さまざまな地域活動に携わる。大阪市地域女性団体協議会に参加し、港区地域女性団体協議会では長年会長を務めた。現在も地域活動を続け、港中学校では学校協議会委員長として教育にも関わっている。