健康 医師会 歯科医師会 薬剤師会 三師会の先生方にお聞きしました!食と健康を知ろう!

■東淀川区医師会
辻 正純(つじ まさずみ)会長

◇老後の人生を健康で楽しむために!食生活と運動で生活習慣病を予防
人生100年時代の課題は、自分の足で歩き、自分の口で食べられる「健康寿命」をいかにのばすか。しかし、食生活や運動不足による生活習慣病が増加しているのも事実です。もともと塩分摂取量の高い日本人に、脂肪分や糖分の多い欧米食が普及したことで、高血圧に加えて、脂質異常症や糖尿病が増加し、QOL(生活の質)の低下も招いています。健康で長生きするためには、3大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)やミネラル、ビタミンなど、栄養バランスの良い食生活が基本です。規則正しい1日3食で生活リズムも整えましょう。
生活習慣病の中でも日本人の死因の上位を占めるのが、がん、心疾患、脳血管疾患。特に増加傾向の大腸がんは、過剰な肉食が一因とされているため、食物繊維を含む野菜などの摂取を心がけてください。心臓病や脳卒中のリスクを高める、高血圧につながる塩分過多にも注意が必要です。併せて適度な運動で、血流や心肺機能の向上、筋肉量の維持もめざしましょう。多様な健康法が氾濫する昨今、「自分はどう生きたいか」を考え、情報を選ぶことが大切です。当会が主催する区民向けの健康講座などにも参加して、健康意識を高めてください。

■東淀川区歯科医師会
田路 雅彦(とうじ まさひこ)会長

◇よく噛むことは、子どもの発育を促進!歯と歯茎の健康のために定期検診を
食べるためには噛むことが必要ですが、近年の軟食化により食事での噛む回数は減少し、現代人の顎は退化傾向にあるといわれています。顎の小ささと歯の大きさの不調和や、歯並びの悪さによって、そもそも噛みづらくなっているのです。しかし、噛むことのメリットは多く、特に子どもにおいては顎の骨・筋肉の発達のほか、味覚・発声などの口腔機能の促進や、栄養の消化・吸収の向上に役立ちます。健全な成育のためにも、保護者の皆さんが食事中のお子さんをよく観察し、食べる姿勢やスピード、食べこぼしなどから、きちんと咀嚼しているかをチェックしてみてください。食材には根菜や歯応えのある肉類などを使用し、噛む力を育てましょう。
何歳になっても自分の歯で噛むことは大切です。歯からの刺激が脳を活性化することから、近年では認知症予防やメンタル安定の効果も期待されています。歯と歯茎の健康を保つために、自宅でのケアはもちろん、定期的な歯科検診を受けましょう。
健康展では、子ども向けの「フッ化物塗布」や、80歳以上で20本以上の歯を保つ方の「8020表彰」などもありますので、ぜひご家族でお越しください。

■東淀川区薬剤師会
上田 勢一(うえだ せいかず)会長

◇薬や食事のこと、相互作用のこと、「かかりつけ薬局」で何でも相談を!
正しい服薬のためにも、何でも相談できる「かかりつけ薬局」を持つことをお勧めします。薬を服用される際は用法、用量、タイミングのほか、気をつけてほしいのが「薬と食べ物の相互作用」について。例えば、グレープフルーツの果肉に含まれる成分は、カルシウム拮抗薬(高血圧の薬)や高脂血症治療薬の薬物代謝を阻害するため、効き目が強くなりすぎてしまいます。また、クロレラや納豆、緑黄色野菜に含まれるビタミンKは、抗血栓薬であるワルファリンの効果を弱め、血液凝固が起こりやすくなるためご注意ください。
近年では、東洋医学による漢方薬の効用や、食事を薬と同等の大切な健康の源と捉える医食同源の考えが改めて注目されています。陰陽五行説を応用し、五味(酸、苦、甘、辛、鹹(塩))がそれぞれ特定の臓器の働きを助けるという考え方もあります。医師や薬剤師に相談のうえ、多様なアプローチの中からご自身に合う方法を選び、病気の治療や症状の緩和につなげてほしいと思います。
健康展では、子ども向けの調剤体験や、学校薬剤師の仕事を紹介する実験ブースで、薬剤師の存在を身近に感じていただければ幸いです。