くらし 考えよう・人権

人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。

■~地域共生社会の実現に向けて~重層的支援体制整備事業について
近年、少子高齢化の進行、ライフスタイルの多様化、核家族化や地域住民の社会的なつながりの希薄化などの社会構造が変化しています。また、老老介護、ひきこもり、ヤングケアラー、虐待、子どもの貧困など、福祉分野における課題は複雑化、多様化してきています。
こうした時代の変化の中で、地域における生活課題の解決を図るための包括的な支援体制の整備を具体的に進めていくことなどを目的とし、社会福祉法が改正され「重層的支援体制整備事業(以下、「重層事業」という。)」が創設されました。
重層事業は、市内の支援機関・地域関係者が相談を断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することを基本的な考えとしています。既存の相談支援や地域づくり支援の取り組みを活かし、子ども・障がい・高齢・生活困窮といった分野別の支援体制では対応しきれないような複雑・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、「属性を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施するものです。
具体的には、複合した課題などがある世帯は、困っていてもどこに何を相談するべきか分からない場合があります。そのような世帯をそれぞれの相談窓口で包括的に受け止め、他の窓口につなぐだけでは解決できない、担当窓口のみで解決が困難な場合に、福祉、医療、教育、住宅、労働など複数の支援機関や団体がより緊密に連携して、地域住民一人ひとりのニーズに応じたサポートを行う仕組みが重層事業です。
本市では、令和7年4月から重層事業を実施し、地域社会における包括的な支援ネットワークを構築するとともに、地域課題に分野横断的に対応する体制を強化することにより、地域福祉を推進し、地域の中で多様な人たちが互いに支え合い、共に生活していく地域共生社会の実現をめざします。