くらし 〔特集〕SDGs 好きや得意が、サステナブルな未来をつくる 2

◆地元で廃棄される酒パックから得意を活かした仕事を作る
社会福祉法人木の芽福祉会 御影倶楽部主任 船橋知恵(ともえ)さん 2024年度(功労賞)
「御影倶楽部」では、障がいのある人の個々の特性を活かした仕事をしています。酒パックから手漉(す)きの紙を作ることで、御影郷の酒造文化と福祉のつながりが生まれています。
・手漉き紙の魅力を、どう広げていきましたか?
私たちが作る紙は、均一でもないし短納期でもない。でも、長田発祥のビーチサンダルのチップや六甲山材、播州織の残糸などを入れられる大らかさがあります。短所も長所もオリジナリティとして売り出したら、アーティストや学生をはじめ、たくさんの人がおもしろがってくれて、新しい関係性が生まれました。
・一人ひとりの個性をどうやって見つけていますか?
絵が好きな人、魅力的な字を書く人、几帳面な人、体を動かすのが好きな人。その人らしさってどこかに滲み出ているので、それを見て作業を作り出しています。メンバーさんも自分の仕事が社会の役に立っていることを喜んでいて、やりがいにつながっていますね。障がいのある人も、仕事の選択肢が増えた方がきっとおもしろい世の中になると思います。
・SDGsが目指す、共生社会の実現に向けて
ふだんの生活では、障がいのある人との接点はあまりないかもしれません。御影倶楽部では、年に何度か紙漉きイベントを開催するので、メンバーにぜひ会いにきてください。障がいのある人だからって、特別に構えなくって大丈夫。家族や友達だって、みんな一人ひとり違いますよね。さまざまな人が共に生きる社会について考える機会になったらうれしいです。

◆好きなことにまっすぐ取り組むことが環境保全へ
玉一アクアリウム 代表 小田隆司(たかし)さん 2022年度(功労賞)
玉津第一小学校の3年生以上とサポーター、代表の小田さんによる活動「玉一アクアリウム」では、週1回ほど川に入り、水生生物の調査、外来種駆除など明石川の保全に取り組んでいます。
・どんな外来種の生き物がいますか?
活動を始めた2000年代当初は、繁殖力が高いオオクチバス(ブラックバス)
とブルーギルなどの外来種が多かったのですが、駆除を続けたことで今は10回に1回しか見なくなりました。これらは日本にいると生態系を崩すので駆除していますが、同じ命には変わりありません。命の循環につながるように、学校で飼う生き物のエサにしたり、畑の肥料にしたりしています。
・明石川オリジナル図鑑について教えてください
夏は2時間、冬は3時間ほど川に入って、夏休みに90種以上を網羅した図鑑作りに励んでいます。わからない生き物がいたら、時間を忘れて調査する子もいます。そして、書くことで、観察眼も養われていますね。最近は、環境や生物を大学で専攻しているサポーターもいて、各地の川の情報を教えてくれます。そこから、より明石川の独自性がわかってきますし、小学生も博士のような彼らの話をキラキラした目で聞いています。
・暮らしの中でできるSDGs活動は?
夕方のスーパーで安くなった食材を買う、ちょっと歩く、打ち水をする、そんなことでいいと思います。SDGsだと気負わずに、楽しく続けられることをやってみたらいいんじゃないかな。私たちも好きでやっていることが、環境保全につながっている感じです。
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