健康 市立病院だより~患者さんに寄り添い、地域から信頼される病院になります~

■ALT値の高い脂肪肝には要注意!
消化器内科 診療部長 田中 弘教(ひろのり)
1993年に筑波大学医学専門学群卒業後、岡山大学で学位を取得。兵庫医科大学で講師、准教授などを経て、2015年5月に当院へ着任し現在に至る。日本内科学会総合内科指導医。日本消化器病学会指導医。日本肝臓学会指導医。日本超音波医学会指導医。日本消化器内視鏡学会専門医。

ALTとは、肝臓の細胞に多く含まれる酵素です。肝障害をみる上で、ALT値は重要な指標であり、健康診断の採血でも必ず測定します。

◇ALT値が増える原因
肝臓の細胞が壊れると、ALT値が増加します。その原因として、肝炎ウイルスや免疫反応・アルコール・薬の副作用などがありますが、特に注意したいのが運動不足や食べ過ぎで肝臓に脂肪がたまり過ぎる「脂肪肝」です。

◇脂肪肝による肝細胞がんが増加
最近は、B型やC型の肝炎ウイルスに対する治療薬が大きく進歩し、ウイルスによる肝硬変や肝細胞がんは年々減少しています。一方で、脂肪肝による肝硬変や肝細胞がんは増加しており、世界的にも問題になっています。

◇ALT値が30以上で要受診
2023年6月の欧州肝臓学会や米国肝臓病学会の発表を受け、2024年に、日本肝臓学会と日本消化器病学会から、脂肪肝でALT値が30以上の状態に対し、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD(マスルド))」という病名が発表されました。脂肪肝であってもALT値が30以上の状態が続くと肝硬変や肝細胞がんになることがあるので注意が必要です。

「血液検査でALT値が30を超えたら医師に相談し、原因を究明!」

◇肝細胞がんは早期発見が肝心!
当院では、体への負担が少ないラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法やマイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓(そくせん)術などで良い治療成績が得られています。しかし、進行した状態で見つかった肝細胞がんに対しては、まだ確立した治療法はありません。それでも、肝細胞がんに対する薬物療法は年々進歩しています。以前は治療が難しかった進行肝細胞がんでも、薬物治療により良い効果が得られる患者さんも増えてきています。

肝臓の病気は自覚症状が出にくく「沈黙の臓器」と呼ばれています。検診などでALT値が30以上であった場合は、症状がないからと放置せず、かかりつけ医と相談し、当院への受診も検討してください。

2023年に奈良県で開催された日本肝臓学会で「ALT値が30以上の肝障害であった場合は、かかりつけ医を受診しましょう」という奈良宣言が発表されました。奈良宣言は、かかりつけ医と専門医の診療連携により、肝疾患の早期発見・治療につなげることを目的にしています。
ぜひ「奈良宣言2023」を検索して調べてみてください。

■エフエム宝塚(83.5MHz)「市立病院の得した気分!」
日時:10月8日(水)10時半~11時
(再)10月10日(金)19時半~20時

■がんサロン「セキレイ」(対面式とZoomの同時開催)
患者同士で悩みや体験を話す交流の場。県がんピアサポーター養成研修修了者とがん患者の家族が同席します。
日時:10月15日(水)15時~15時45分
場所:がん診療支援センター(現地参加は予約不要。開始10分前までに直接会場へ)
対象者:がん治療中の人と家族(当院を受診していない人も参加可)

問合せ:同センター
【電話】87・1161【FAX】87・5624

■糖尿病教室
日時:(1)10月23日(木)(2)11月11日(火)14時~15時
場所:市立病院 講堂1
定員(先着):各日30人
対象者:糖尿病と診断された人と家族(当院を受診していない人も参加可)
内容:
(1)糖尿病の治療目標
(2)糖尿病と運動

申込み・問合せ:平日14時~16時に内科外来受付
【電話】87・1161【FAX】87・5624

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問合せ:市立病院
【電話】87・1161【FAX】87・5624