くらし 〔Column〕生きる

■障がいの「見える化」を巡って Vol.1
◇「ヘルプマーク」とは?
難病や慢性疾患による生きづらさについて書きましたが、その多くは見た目では分かりづらいものです。その「見える化」の試みのひとつが「ヘルプマーク」の配布と周知の取り組みです。赤地に白い十字とハートがデザインされたシンプルなヘルプマークは、2012年に東京都で最初に導入され、全国に広まりました。「義足や人口関節を使用している人、内部障がいや難病の人、妊娠初期の人など、外見から分からなくても配慮を必要としている人が、その事を知らせることで、周囲の援助を受けやすくなるように」と作成されたマークです。
例えば私でいうと、見た目は元気そうでも歩くのが遅く、街中で人の流れに乗れずに周囲に迷惑そうにされることがあります。しかし、ヘルプマークを付けるようになってからは「この人は何か事情のある人だな」と察してもらえているのか、けげんな顔で見られることが減り、電車で席を譲ってもらえる機会が増えたという実感があります。
画期的なのは、提供を受けるために障害者手帳などの証明書がいらないことです。福祉サービスなどの利用の際には「障がいの証明」を求められますが、慢性疾患や内部障がい、軽度の障がいなどについては、障害者手帳などの認定基準に当てはまらず、その証明自体が困難です。しかし、ヘルプマークは市町村の福祉の窓口などで自己申告による配布を受けて活用することができます。良いマークだなと思う一方、私は長い間ヘルプマークを付けることに迷っていました。
NPO法人大阪難病連事務局長 尾下葉子

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