- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県新温泉町
- 広報紙名 : 広報しんおんせん 令和7年7月号 vol.238
■「新温泉町人権啓発指導員研修会」を開催しました。
5月22日(木)、新温泉町文化会館にて人権啓発指導員を対象にした研修会を開催しました。
本年度の学習テーマは「社会におけるこどもの人権~こどもが安心して暮らせる社会の実現をめざして」で、啓発ビデオは「あなたのいる庭」を視聴しました。
▽啓発ビデオの内容
社会には、虐待や貧困、死別など様々な理由で保護者と暮らせず、児童養護施設など社会的養護のもとで暮らしているこどもたち、そして社会的養護下から自立したが、家族からのサポートを得られずに生きる人たち(ケアリーバー)がいます。社会的養護の現状や実態を知る人は少なく、世間からの無理解と偏見にさらされ、居場所を見つけ出せず、進学や就職など生きる上で様々な困難に直面している現状があります。
次代の社会を担うこどもたちが自分らしく幸せに成長でき暮らせるように、社会全体で支えていかなければなりません。「こどもの人権」について改めて考え、誰もが一人の人間として尊重される社会の実現を目指すことを目的として、このドラマは作成されています。
■ビデオを視聴した後、鳥取市人権情報センター主任研究員の福壽みどりさんのお話を聞きました
皆さんは、児童養護施設のイメージはどんなものがありますか。児童養護施設は、「保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童」を対象にしていますが、令和4年3月時点で全国に610か所、23,008人が暮らしています。
入所の理由は「父・母・父母の行方不明(18.5%)」「虐待(16.0%)」「父母の離婚(13.0%)」「父・母の入院(11.3%)」「父・母の就労(11.1%)」です。
但馬管内では朝来市に「乳児院・児童養護施設」があります。また、令和5年豊岡こどもセンターでの施設等措置状況は、乳児院3件、児童養護施設4件、障害児入所施設福祉型1件、児童心理治療施設入所型1件、里親7件、自立支援ホーム4件となっています。令和6年3月31日現在の施設在籍状況は、乳児院4人、児童養護施設22人、里親委託14人、障害児入所施設福祉型4人、児童心理治療施設2人の合計46人です。
子どもの虐待について話します。令和3年度は、全国で68例、74名の虐待死が発生しています。内24人は心中による虐待死で、50人は心中以外の虐待死です。心中以外で亡くなった子どもの年齢は、0歳が24人(48%)で直接の死因は「頭部外傷が28.9%」「頸部絞扼以外による窒息が15.8%」「主たる加害者は実母が40%」という状況です。2023年度の豊岡こども家庭センターでの相談受付件数は746件、相談の内訳は、「県・市町村から」が39.3%、「家族・親族から」が27.2%、「警察等から」が19.2%、「学校から」が4.8%、「保健所・医療機関から」が0.3%です。
また、新温泉町からは39件の相談受付をしています。養護相談(虐待8件、その他3件)、障がい相談(知的26件)、非行相談(虞犯2件)です。
豊岡こども家庭センターの受付総数746件は、数として多くないと感じるかもしれませんが、対児童人口で計算すると、神戸こども家庭センターと明石こどもセンターを含まない県内7こども家庭センター中、尼崎(51.1)、中央(34.5)加東(33.2)に次ぐ32.5です。
ケアリーについてお話します。兵庫県内では毎年50人程度がケアリーバーになっています。(神戸市を除く)。
平成30年~令和2年度に退所した18歳以上の299人にアンケートを実施しようと思いましたが、69人に送付できませんでした。理由は連絡先不明や行方不明、連絡拒否などでした。アンケート結果では、児童養護施設入所中に体験できなかったこととして「買い物」「外食」「旅行」が上位を占めていました。また、社会に出て困ったことは、親がいれば相談したであろうことの相談ができない、親がいればできる些細なことを話題にする相手がいないことなどでした。私たちにできることは何でしょう。それは、施設で育つ子、施設出身者を「かわいそうな子」という目で見ない、「かわいそうな人」として接しないこと、そして見守ることです。何か危険なことはないか、変なことはないかと見守ることが大切です。
問合せ:文化会館
【電話】82-3328