文化 野草散歩(175)

■ブタナ(キク科)
初夏の日差しの中、あちこちで黄色い花の群落(ぐんらく)を見かけます。この花はヨーロッパ原産の帰化植物ブタナ(豚菜)で、日本へは昭和8年北海道で移入が確認されたのが最初で、その後神戸でも見つかった後、急速に全国に広がって行きました。ところが余りにも繁殖力が旺盛なので在来種への影響が懸念され、現在は特別外来生物法で要注意外来生物に指定されています。ブタナと名付けられたのは、豚が好んでこれを食したことからフランスで「豚のサラダ」と呼ばれていたことから、直訳して「豚菜」となったということです。全草食べられるそうですが、茎も葉も硬そうで、名前にも少し抵抗感があり、まだ試してみたことはありません。
花茎は直立して多く分枝し、高さ50cmほど。茎先に黄色い花を一つ付けます。花は舌状花ばかりの集まりで、花の直径は3~4cm、葉は長さ6~11cm、幅1.5~4.5cmの倒披針形(細長くて先が広い形)、葉縁は不規則に裂け、地面に張り付いたように根生(根もとに生える)しています。また、葉の裏表や縁には黄褐色の細毛があります。以前にタンポポ調査をした時、子供たちが集めてきた中に、ブタナが混ざっていたことがありました。間違えたのは無理もないことで、「タンポポモドキ」の別名もあるほど似ています。ただ、タンポポは丈高く伸びないし、枝分かれもしないので、すぐにその区別がついたようです。
花期は長く、6月から10月くらいまで咲き続けます。冬になると地上部の茎は枯れますが、根生葉はロゼット状に地面に張り付かせて春を待ちます。

文・写真 中澤博子さん

■訂正とお詫び(企画課)
広報しんおんせん5月号「野草散歩(173)ニシノオオタネツケバナ」に記載の分類「バラ科」は「アブラナ科」の誤りでした。訂正し、お詫び申し上げます。