くらし こちら町長室

■農業について
現在、食料品を中心にした物価高で、生活は厳しさが増す一方です。ロシアによるウクライナの侵攻や、円安による原油高を始めとした輸入原材料などの値上がりが日常生活に大きく影響しています。さらに、昨年秋からの米不足による価格高騰が起こり、これまでの国の米農政(農業政策)の在り方に見直し論議が高まっています。

■農家数と農地
新温泉町の食料生産はどうなっているのか、合併した20年前と比較しました。
まず、米を作る農家です。平成17年度の1712戸から令和7年度は965戸となり、747戸(約44%)減りました。作付面積は、平成17年度の630ヘクタールから472ヘクタールとなり、158ヘクタール(約25%)減りました。

■主な農作物
現在の主な農作物は、米、種子籾、大根、梨、ピーマン、小豆、ネギ、山椒、花き、そば、グランドカバーとなっています。
バブルが崩壊した平成3年度の主な農産物は、米、梨、大根、しいたけ、小豆、たばこでした。しいたけ、たばこが姿を消し、ピーマン、ネギ、山椒、そば、グランドカバーが新たに増えました。

■農作物の販売額
それぞれの農作物のJA出荷分について、平成17年度と令和6年度を比べてみました。

▽JAの出荷実績(販売金額)

※そばとグランドカバーの平成17年数値は不明

傾向として、大きく伸びたのはピーマンと山椒、大根とネギは微増、米と種子籾は微減、小豆は大きく減りました。
平成17年度の主な農作物の販売総額は約4億9700万円、令和6年度は約5億700万円で横ばいとなっています。

■梨は
旧温泉町の平成3年度の資料によると、1億5500万円の売上がありました。
かつて、竹田地区を中心に多くの梨農家がありましたが、現在は高齢化や後継者不足などにより11戸と激減しています。選果場もなくなり、農家はJAを通さず直接消費者に販売しており、梨の正確な販売額はつかめていません。

■畜産は
畜産農家は、平成17年は108戸で令和7年2月時点は35戸に激減し、繁殖牛は869頭から734頭に減っています。ただし、販売金額は2億7千万円から令和6年度は3億7千万円となり大きく伸びています。子牛販売価格が100万円近くになり、大きく値上がりしたことが要因です。

■普及センター
農業の普及発展に欠かせないのが新温泉農業改良普及センターの存在です。事務所は新温泉総合庁舎の4階にあります。その役割は、20世紀梨の後継として「なしおとめ」など新たな農産物のブランド育成、ピーマンなど儲かる農作物の育成指導、切り花研究会などの開催研究、稲わら堆肥(耕畜連携)の推進、地域ビジョンの作成支援、朝倉山椒の生産指導、稲作りの高温対策など多岐に渡っています。さらなる指導・活躍を期待します。

■農家支援を
日本の食料自給率は38%と言われています。自分たちの食料は自分たちで作ることが真の自立につながります。かつて大分県が行っていた「一村一品運動」なども必要です。そして小さな農家も支援する仕組みを国が本気で考え、実行する時がきています。

新温泉町長 西村銀三

※「こちら町長室」の動画(CATV版)は、町動画配信サービスでご覧いただけます。