くらし 議会だより 令和7年 第1回 山添村議会定例会の結果(6)

◆質問 奥谷和夫 議員
▽本村の現状と今後のむらづくりの方向について
1.いま村は重大な岐路に立っていると考えるがその認識はあるか。
2.後期高齢者医療、消防、国保など広域化の弊害が出ていると考えているが認識はどうか。
3.村の地域医療について以前と比べ後退していると感じるが認識はどうか。
4.分校の本校化の遅れ、村の観光の拠点である神野山の運営など村の良さや誇りが失われつつあると感じるが認識はどうか。
5.全国の類似した自治体と協力して地方自治の充実に取り組むべきと考える。その点で「小さくても輝く自治体フォーラム」に参加してはと考えるがどうか。

◆答弁 野村 村長
重大な岐路について、すでに何年も前から重大な岐路に立たされていたと思っている。その都度、行政・議員・村民が協力し合って、努力し対応されてきたとは思うが、先延ばしにしてきた課題もあったと思う。10年前、20年前に予測されていた現状に対して、その時点で対策をきっちりとられていれば、山添村が抱えている課題は、もう少し削減されていた可能性はあると思う。3年半前、私はそのことに気づき、何とかしたいという思いでこの職に立候補した。
広域化の弊害について、まず消防について現在、山添村の近隣消防署は宇陀市、天理市となり、以前の月ヶ瀬村、都祁村に比べ距離的に遠くはなったが、山添村で火事があった場合、近隣の宇陀市、天理市、桜井市の各消防署からすぐに駆けつける協力体制を整えている。救急に関しては、山辺広域行政事務組合から奈良県広域消防組合へ規模が拡大されたことに伴い、組合全体としての救急車は増えている。しかし、救急出動の増加に伴い、救急車到着に時間がかかる事案が発生しているのも事実である。今後は、奈良県広域消防組合内での業務の効率化、迅速化をさらに進め、山添村としては、隣接の奈良市と協力体制が取れないか検討していく。
次に医療制度について、平成20年4月から開始された後期高齢者医療制度、平成30年4月から広域化された国民健康保険制度について、保険料・国保税が以前よりも高くなったということはある。しかし、村単独で老人保健・国民健康保険の制度を維持することは財政面で難しく安定した運営を行うためには県単位の広域化が必要であった。また、国民健康保険の被保険者1人当たりに支払われる医療費については本村の医療費が県を上回ることもあるため、住民負担のみが増えたとは言い切れない。
地域医療の後退について、村の地域医療は、吉本清信先生のころから、住民健診の重要性を周知して、検査項目の充実を図ってきた。現在も特定健診の受診率は約50%を保っており、県内でも高い水準を維持している。また、後期高齢者医療保険の1人当たりの医療費は、県の平均より低く推移しており、予防や健診の効果が現れていると考える。住民健診については、検査項目の充実・周知啓発を行いながら継続実施し、がんの早期発見と早期治療、生活習慣病の発生予防に努めていく。
分校の本校化について、村の良さや誇りを観光資源や分校で評価されるのは、議員の個人的な指標であって、必ずしも村民の総意ではないと思う。また、村民に負担を強いてでも良さや誇りを追求することが本当に村の為になるのかも疑問である。山添村を含め日本は人口減少・少子高齢化が加速し、それによる後継者不足・荒廃地の増加等、様々な課題があり、買い物支援や見守り支援など様々な支援が必要となっている。私の一番の仕事は、「今後このような山添村で人々の暮らしの営みを続けること。村民が安心安全に暮らし続けることのできる体制づくりをすること。」だと考える。こういう意味からすれば、まだまだ、村の良さや誇りを構築できていない。今後、「人員・人材・財源」が大きく不足することが予測される。そんな社会の本格的な到来に備え、我々は「今までの歴史や手法に固執するばかりではなく、今後の住民の暮らしを維持していくための事業の見直し」をしていかなくてはならないという考えで、行政の取組を進めている。その為に、村単独で対応するのではなく、企業や大学との連携、周辺市町村との連携、課題や規模の似通った自治体との連携等を進めている。また、「全国過疎問題研究会」等、本村の抱える課題とマッチした課題を有する研究大会や現地視察等に参加し、多くの自治体と繋がっている。
次に「小さくても輝く自治体フォーラム」については、今まで参加はしていないが内容を精査し検討する。
また、今までは行政側から「○○の取組をします。」という形で議会や村民に紹介してきたが、今後は、議員や村民からのご意見や取組を紹介することも村の施策として考えていきたい。村の課題を解決するための案を待っており一緒になって、考え行動に移していきたい。