- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県安来市
- 広報紙名 : 広報やすぎ「どげなかね」 令和7年11月号
■持続可能な医療提供を目指し医療提供体制を見直します
令和6年度、安来市では、人口減少などの社会環境の変化に対応し、将来にわたり安定して質の高い医療を提供するため、「安来市医療提供体制検討委員会」を設置し、医療提供体制の将来像について検討を行ってきました。この検討委員会のまとめとして、「安来市立病院と社会医療法人昌林会安来第一病院(以下:安来第一病院)の両病院について、統合再編も含めた抜本的な対応が必要」との講評が示されました。
この講評をふまえて、安来第一病院と協議を行った結果、医療提供体制の将来像について、基本的な方針で一致することができ、今年9月18日の市議会で内容を公表しました。
▽基本方針(概要)
1.安来市立病院と安来第一病院は、経営統合を目指します
2.中山間地域の外来診療を担う外来拠点施設を広瀬地域に設置します
3.経営統合後の新病院として、病院施設を整備します
Q.なぜ医療提供体制の見直しが必要なのか?
A.人口減少などの社会変化に対応し、安定した医療提供を継続するため
▽医療提供体制を見直す背景
01.加速する人口減少と少子高齢化
安来市では、人口減少と少子高齢化が急速に進んでいます。2000年には約45,000人だった総人口が、2020年には約37,000人にまで減少しました。
さらに、2050年には総人口が約22,000人まで減少し、65歳以上の老年人口が、15歳~64歳の生産年齢人口を上回ることが予測されています。これは、2020年と比較して約40%の人口減少にあたり、高齢者の割合も40%を超える見込みです。
将来推計人口

出展:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」
02.医療需要の縮小
人口減少が進むことで、医療の需要も減少していきます。安来市では、2050年に2020年と比較して医療需要が約28%減少すると予測されています。
このことから、持続的に医療提供を続けていくためには、将来の医療需要に見合う規模に医療提供体制を見直す必要があります。
医療需要予測指数(2020年=100)

出展:日本医師会「地域医療情報システム」
03.深刻な医師不足
安来市立病院では、医師の確保が大きな課題となっています。
現在、常勤医師数はピーク時の半数以下に減少しています。総合内科の医師を確保して総合診療や訪問診療を強化する一方で、対応できる疾患や救急の受け入れに制限が生じています。
今後、生産年齢人口の減少により、医師をはじめとする医療従事者の確保がさらに難しくなる見込みです。
常勤医師数(安来市立病院)

▽安定した医療提供のために
社会環境の変化に加え、近年の物価や人件費の上昇により、両病院の経営はますます厳しくなると予想されます。また、安来市立病院の本館は築50年を超え、施設の老朽化が進んでいます。今後、施設整備の負担も大きくなる見込みです。
さらに、国の方針としても、社会構造の変化を見据え、医療機関の役割分担を明確にし、再編や連携を進めて限られた資源を効率的に活用する医療提供体制づくりが求められています。
こうした状況を踏まえ、検討委員会では「両病院が現状のまま医療提供を続けることは難しく、統合再編も含めた抜本的な対応が必要」との講評が示されました。
そこで、安来第一病院と協議を重ねた結果、医療提供体制の将来像について、基本的な方針が一致しました。今後、持続可能な医療提供を目指し、病院機能や資源の効率化を図ることで、引き続き地域の医療を守っていきます。
市として、持続可能な医療提供体制の確立に向け、責任を持って取り組んでまいります。
