- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和7年8月号
■不登校の定義
不登校は、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくてもできない状況にある児童生徒(ただし、病気や経済的な理由による者を除く)で、年間30日以上の欠席をした者と定義されています。つまり、一口に「不登校」といっても、欠席日数が30日から、まったく学校に登校できない子まで、さまざまな状況があります。
■全国の児童生徒全体における不登校の要因
▽学校が関係する要因
いじめ 1.3%
いじめを除く友人関係をめぐる問題 13.3%
教職員との関係をめぐる問題 3.0%
学業の不振 15.2%
学校のきまり等をめぐる問題 2.0%
入学、転編入学、進級時の不適応 4.0%
▽家庭が関係する要因
家庭の生活環境の急激な変化等 7.2%
親子の関わり方 12.4%
▽本人が関係する要因
生活リズムの乱れ、あそび、非行 26.4%
無気力、不安 55.3%
出典:文部科学省
■下関市の不登校の児童生徒数(令和5年度)
小学生 295人(37人に1人)
中学生 501人(11人に1人)
出典:下関市
■「学校に行けない=悪」ではない!
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)は、すべての子どもに学ぶ機会を保障する法律。不登校の児童生徒などに、多様な学びの場を提供し、個々の状況に応じた柔軟な支援を行うよう地方自治体等に求めるものです。
■良好な親子関係が心の回復の栄養です
NPO法人 Nest 石川 章さん
平成8(1996)年フリースクールをスタート。以来、不登校・引きこもり状態にある青少年の生き方を応援する居場所づくりをしています。
学校に行けない子どもは、何らかの事情を抱え、心や身体のエネルギーを使い果たしている状態です。不登校は「サボっている」のではなく、「元気を取り戻すための回復期間」だと考えてほしいと思います。高熱が出て動けないとき、無理に起きろとは言いません。骨折しているときに無理に動かせば悪化します。心の不調も同じです。ただ、体温計やレントゲンのように客観視することが難しいため、周囲が焦りや不安を抱きやすいのです。熱が下がれば、じっとしていられないのと同じで、心が癒されれば、いずれ「動きたい」という気持ちになります。その日が来るまで、周りの大人には、無理に変えようとする北風ではなく、そばに寄り添い、心を温める太陽のような存在でいてほしい。子どもは、心のエネルギーを失ったとき、親の愛情を求めています。安心できる家庭・環境で、親子関係を大切に紡いでほしいと思います。