子育て 《特集》不登校、子どもたちのSOS。(3)

■それぞれの「今」に寄り添う学びの場。
子どもが「学校に行けない…」と言ったとき、何より大切なのは、その気持ちを否定せずに受け止め、その気持ちに寄り添うこと。子どもたちが、自分のペースで歩んでいけるように、本市では、さまざまな学びの場の設置や保護者を支える取り組みを進めています。

●(1)校内教育支援教室
市内の各学校では、校内教育支援教室の設置が進んでいます。学校に登校できるけれど自分のクラスに入れないときや、少し気持ちを落ち着かせたいときなどに過ごせる場所です。普段使われていない教室などを活用し、静かな環境で、学習や相談等の支援が受けられます。
ここでは、「こころのアシスタント(通称:ここア)」と呼ばれる専門職員が子どもたちのそばに寄り添いながら、安心して学校生活が送れるようサポート。一人ひとりの状態に合わせた関わりがあることで、「ここなら大丈夫」と感じられる居場所になっています。

問合先:在籍校で相談してください。

▽菊川中学校 吉冨 祐さん(ここア)
「ここに、この人がいてよかった」。そんな存在になれるよう、「先生」としてではなく、地域に暮らす「ひとり」として学校に来ています。子どもたちはもちろん、先生や保護者の方も、気軽に、安心して話せる存在でありたいと思っています。学校の中にいるからこそ、日々の小さな変化に気付き、そっと寄り添う支援ができると感じています。無理に励ましたり急がせたりせず、「今」の気持ちを大切に受け止めるようにしています。

●(2)教育支援教室「かんせい」・「あきね」
自分の学校に通うことが難しい子どもたちが、落ち着いた環境で、自分に合ったペースで学習・生活することができるよう市教育委員会が開設している「教育支援教室」が市内2カ所にあります。
どちらも少人数で、それぞれのペースに応じた学習や体験活動を行っています。学校とは違う雰囲気の中で、自分自身を取り戻していく子どもたちがいます。

・かんせい
関西町12番1号(関西小学校内)
校舎、教室等を活用し、学校生活に近い環境で活動します。

・あきね
秋根西町一丁目1番3号(旧勝山老人憩いの家)
学校にないアットホームな雰囲気の中で活動します。

・1日の生活の流れ
午前9時25分~午後2時15分
・午前 かんせい・あきねタイム(自主学習)
・午後 ふれあいタイム(体験活動)

問合先:在籍校で相談してください。

▽かんせい 藤井房雄先生
不登校は、現在の学校教育における最大の課題と捉えています。要因はさまざまですが、共通点は「学校に行きたくても行けない」ということです。教育支援教室では、まず家の外に出ることから始め、学習や人との関わりが持てる環境づくりを重視しています。子どもたちが自分のペースで生活し、エネルギーを回復できるよう、職員が一体となって支援を行っています。学校復帰だけを目指すのではなく、安心できる居場所で、一人ひとりに合った支援を重ね、小さな前進を喜び合える関係を大切にしています。