- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県長門市
- 広報紙名 : 長門市広報 知っちょこ 令和7年10月号
地方公営企業である水道・下水道事業は、市民が生活する上で必要不可欠なインフラです。そのため、持続可能な事業経営を行うためには、老朽化する施設の更新を計画的に実施する必要があります。
本市では、人口減少により料金・使用料収入は減少を続けており、厳しい経営状況に直面しています。
水道・下水道を将来につないでいくため、令和6年度の経営状況を説明します。
■市民の命と健康を支える「水道」
◆1立方メートルの水を届けるのに必要な原価と水道料金は平均でいくら払っているの?
水源地で取水してから各家庭の蛇口まで水道水を届ける費用は、1立方メートルあたり174円(給水原価)となっています。
給水原価は、人口規模や給水区域内の人口密度など環境により異なりますが、少ない経費で効率的な供給に努めていますので、全国平均より安くなっています。
一方で、利用者が負担する水道料金は154円となっており、全国平均より低い料金設定となっています。
水道料金のみでは20円の費用不足が生じています。不足分は、主に一般会計(税金)から補てんすることで水道事業の経営が成り立っている状況です。
『水道料金』…1立方メートルあたり154円(税抜)(全国平均174円)
『給水原価』…1立方メートルあたり174円(税抜)(全国平均178円)
給水原価のほうが単価が高い!
※原価との差額20円は税金などで穴埋め
※1立方メートルは2ℓのペットボトル500本分の量です
(※詳細は本紙をご参照ください。)
◆現在の経営状況は?
令和4年度に料金改定を行ったことにより、給水収入は増加しました。しかしながら、広範囲に及ぶ水道管や浄水場の維持管理費に加え、老朽化が進む水道施設の更新にも多額の費用を要し、依然経営状況は厳しいままです。
引き続き経費の削減に取り組んでいますが、運営上資金を借り入れざるを得ない状況にあり、借入金残高は増加傾向にあります。
◇5年前と前年度の経営状況の比較
※費用は給水に係る経費で、施設の更新に係る工事費などは含んでいません
・借入金残高 約38億円
・給水人口1人あたりの借入金額は約14万円
◇水道水が家庭に届くまで
1.川などの水源地で取水した水を浄水場に送る
2.浄水場の沈殿池やろ過機で水をきれいにする
3.薬品を注入して水道水ができあがる
4.水道水をポンプで配水池に送る
5.配水管と各家庭の給水管を通って蛇口に届く
水道事業経営には、施設の減価償却費や維持管理費、ポンプの動力費、薬品費、人件費に加え、水道管や浄水場といった施設の整備・更新費など多額の経費がかかります。
(※詳細は本紙をご参照ください。)
■清潔で快適な生活環境を実現する「下水道」
◆1立方メートルの汚水を処理するために必要な費用と下水道使用料は平均でいくら払っているの?
公共下水道では各家庭から排水される汚水を処理場で処理する費用が、1立方メートルあたり166円(汚水処理費)となっています。
利用者から、下水道使用料として146円をお支払いいただいています。
使用料のみでは、20円の費用不足が生じます。不足分は主に、一般会計(税金)から補てんすることで下水道事業の経営が成り立っている状況です。
なお、下水道の各事業ごと(※1)に1立方メートルあたりの汚水処理費用などは異なります。
◆現在の経営状況は?
人口減少により、使用料収入は減少し、経営状況は厳しくなっています。
一方で、市内の広範囲に及ぶ下水道管や処理施設の維持管理費に加え、老朽化が進む下水道施設の更新にも多額の費用を要します。
業務の効率化に努めていますが、運営上資金を借り入れざるを得ない状況にあり、借入残高も同規模事業体と比べて多くなっています。さらには、赤字補てんのため、一般会計から基準を上回る税金が投入されている状況です。
『下水道使用料(公共下水道事業)』…1立方メートルあたり146円(税抜)(全国平均154円)
『汚水処理費用(公共下水道事業)』…1立方メートルあたり166円(税抜)(全国平均139円)
処理費用のほうが単価が高い!
※費用との差額20円は税金などで穴埋め
コップ1杯の油を、川や海に安全に流すためには、浴槽200杯分の水が必要になり、それだけ処理費用がかかってしまうんです!
(※詳細は本紙をご参照ください。)
◇5年前と前年度の経営状況の比較
※一般会計繰入金により、収支が0になるように補てんされています
・借入金残高 約47億円
・水洗化人口1人あたりの借入金額は約20万円
◇生活排水などが処理されるまで
各家庭からの生活排水を下水管に集めて処理場に送ります。処理場においては、微生物の働きによって生活排水をきれいにし、川や海などに放流します。
※1下水道事業では、公共下水道事業(汚水・雨水)、特定環境保全公共下水道事業(汚水)、農業集落排水事業(汚水)、漁業集落排水事業(汚水)があり、水道事業と同様に施設の維持・更新費など多額の経費がかかります。
■水道事業・下水道事業のこれから
人口減少や物価高騰により経営環境が大きく変化しており、現状のままでは事業を継続していくことが困難となることが予想されています。
そのため、上下水道局では経営健全化の取組として令和2年度に策定した今後10年間の経営の基本方針となる「経営戦略」を令和7年3月に改定し、経営改善に取り組んでいます。
経営戦略では、老朽化する施設の更新計画や不足する財源、本来あるべき水道料金や下水道使用料の水準など、経営改善に向けた方向性が示されています。
市民の皆さんには、今後の取組について、ご理解ご協力をお願いします。
「経営戦略」と概要説明資料は長門市ホームページに掲載しています。
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問合せ:上下水道局管理課
【電話】23-1169