- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県阿武町
- 広報紙名 : 広報あぶ 令和7年4月号
本町は、昭和30年に奈古町、福賀村、宇田郷村が、飛躍と発展を期して合併し、この1月1日で満70年、町制施行70周年の記念の年を迎えました。
こうした中、阿武町の人口は毎年減り続けており、3千人を切ったところですが、減少率は近年鈍化傾向にあります。令和5年度における死亡者数が67人に対して出生者数が17人で、いわゆる「自然増減」はマイナス50人でしたが、一方で、いわゆる「社会増減」は、転出が82人に対して転入が88人でプラス6人となり、このことは、直近の5年間のうちで4年間が転入超過の状況であり、県内でも他に例はないところです。
出生者数につきましては、平成27年度の16人以降、平成28年度からは6年連続で一桁となっていましたが、令和4年度には7年ぶりに二桁台の12人、令和5年度は17人とV字回復し、本年度においても、現時点の予定では、3月末で10人以上の二桁台の出生者が見込まれているところです。
そして、このことは本町がこれまで、他市町に先駆けて実施して来た0歳から高校生までの医療費の無償化をはじめ、0歳児を含め全ての保育料の無償化、更に、保育園、小・中学校の給食費の無償化の、所謂「子育て支援3点セット」の取り組みや、各種の子育て支援、定住対策、高齢者福祉対策等々、本町の取り組んで来た独自施策が実を結んで来たのではないかと考えています。
新たな、かつ大きな課題として浮上して来たのが、町の医療体制の確保の問題であり、長年にわたり、本町の医療を担って来ていただいた町内唯一の開業医の「齋藤医院」が、諸般の事情から昨年の12月をもって閉院され、これに対応するため、今の齋藤医院の場所周辺に、新たに町営の診療所を核とした複合施設の建設を計画しているところです。
現時点では、新たな複合施設の整備が完了するまでの期間の対応として、旧齋藤医院の建物を活用して福賀診療所の巡回診療所として「なご診療所」を設置し、当面3月までは、月曜日と金曜日を終日齋藤先生に、そして水曜日が山口大学の先生による半日診療という形で、週2.5日の診療を続けることとしており、4月以降の体制については、現在、コンサル契約を結んでいる山口大学医学部の先生や県の地域医療を担当する先生方との協議のほか、「阿武町地域医療検討会」の中でも検討を進めているところです。
この新たな診療所等複合施設については、保健・医療・介護・福祉分野の各組織が迅速に連携・強化されるよう、建物内に社会福祉協議会と町の健康福祉課を入居させるとともに、「こども家庭センター」や「総合相談窓口」なども配置するほか、来院者がくつろげるサロンなども設けて、「あぶの保健室」のイメージとなるようなワンストップのサービス拠点を目指すほか、最新技術を活用した「オンライン診療車の導入」や「薬の宅配」といった仕組みも併せて構築したいと思っています。
「オンライン診療」や「電子カルテ」と言った医療DXについては、これからの時代に乗り遅れることがないように、昨年度から進めている「阿武町DX推進支援事業」の中で、方針を定め、今年度においては「阿武町DX推進計画」を策定し、新年度以降においては国の補助事業等を活用しながら、引き続き伴走型の支援を行うこととしているところです。
このDXについては、これからのデジタル時代に対応した行政サービスを、どう推進して行くかと言うことに重点を置いて、行政DXをはじめ、防災、医療・介護、子育て、交通、農林水産、観光、教育の8つの領域のDXについて、職員がグループに分かれてそれぞれ検討し、今年度はその内の重点領域として、「行政DX」においては、窓口改革や内部事務、「防災DX」においては、老朽化する防災行政無線に替わるデジタル機器の検討、「医療・介護DX」においては、遠隔医療、高齢者や要介護者の見守り対応等について、それぞれ他市町の調査や運用の検討、導入計画案の策定等を行ってきたところです。
新年度においては、行政DXにおける「書かない窓口」を予算化すると共に、他の領域や重点項目の実現に向けた伴走支援を引き続き行うことで、デジタル社会の到来を前提とした阿武町らしい体制の整備や、住民サービス向上のためのデジタル技術を活用した施策の展開を図って行くこととしています。
また、現在、国交省により山陰道木与防災事業の工事が順調に進められているところでありますが、この工事の残土を利用して経費の節減を図ると共に、定住人口の促進を図るための「美咲第5分譲宅地」の整備や、企業誘致を推進し、町の雇用の場を確保するための先行投資として、山陰道に隣接する木与・遠根の町営のミニ工業団地となる「ABUファクトリーパーク」の用地確保のほか、特産品の振興を図るための県営で行うキウイフルーツモデル園地の整備等についても、引き続き行っているところであります。
新年度においては、総合計画の後期基本計画のほか、これまで実施して来た各プロジェクトを更に発展させながら、横断的な指標である「新たな就業」、「関係人口」、「活動人口」の達成に向けた「第3次阿武町版総合戦略」を推進して行くと共に、第9次阿武町行政改革大綱の策定により、事務事業の集中化、簡素化、省力化、廃止などにも積極的に取り組んで行くこととしているところであります。
これからも「打てば響く、町民一人ひとりに寄り添うまちづくり」を全力で推進すると共に、もっともっとチェンジ・もっともっとチャレンジの精神もって、町民の皆様がより住みやすく、より豊かに、より安全に暮らせるまちづくりが実現できるよう最善を尽くすと共に、今後とも「阿武町に生まれて良かった」、「阿武町に住んで良かった」と思っていただけるような各種施策を積極的に展開して参ります。