- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県阿武町
- 広報紙名 : 広報あぶ 令和7年7月号
▽西村容子(にしむらようこ)議員
Q.今後の介護サービスの確保体制について
A.阿武福祉会と包括支援センター行政が連携をとりどんな介護サービスがどれだけ必要なのか把握し柔軟に対応
問:阿武福祉会は、ひだまりの里のデイサービスやグループホームをはじめ事業を縮小されているが、現状ではどうなっているのか。
町長:
阿武福祉会は、平成10年10月に介護保険制度が始まることを機に、介護保険サービスの提供を目的に町が補助金を出す形で立ち上げた。
施設への入所者が増えるとの予想から、阿武福祉会が恵寿苑を建設・運営となった。
その後、事業を拡大し経営を平成24年頃は、期末残高が3億円以上で推移して安定していた。
令和に入って以降、黒字であった事業が赤字になったり、黒字額が減少したりで、預金を年々取り崩してきた。
近年は介護職員の退職に伴う補充が難しく、介護保険による介護職員の配置基準が維持できないことも、介護報酬の減額に大きく影響した。
特に養護老人ホーム清ヶ浜清光苑に至ってはどうしても人員配置が所定の基準を満たすことが出来ず、昨年10月から特定施設入居者生活介護の指定が受けられず、年間で8千万円分の介護報酬が入らない状況となり、経営に大きな穴が空き、赤字の原因となった。
しかし、現在はこの6月1日付けで、介護職員の採用や閉鎖した施設からの異動により、基準を満たし再度指定を受けた。
このような状況で阿武福祉会の今回の休止は将来的な利用者の減少や介護職員の不足等で、事業が立ち行かなくなるという中での苦渋の決断だった。
問:今後の介護サービス提供体制の確保は大丈夫か。
町長:
先ずは、阿武福祉会で引き続きサービスが提供できるよう、介護人材の育成を支援していくことを目的に、介護資格取得への補助制度も導入した。
昨年度は阿武福祉会の職員の述べ10人の方が制度を利用し、資格の取得を目指している。
一方、昨年度から実施している有償ボランティア制度のような介護保険制度では対応出来ない部分、不足する部分を補うようなサービスを検討していく。
▽米津高明(よねつたかあき)議員
Q.道の駅温水プール廃止について
A.温水プールは廃止し新たに半屋外施設の整備を行う
問:
道の駅温水プール廃止についての説明会が5月19日に行われたが、利用者の声を聞くのではなく、廃止に向けての説明会だった。
夕張市の話を持ち出してお金のことだけで一方的に廃止を決定するのは「町民一人ひとりに寄り添う」というスローガンを掲げる阿武町の方針から不誠実ではないか。
一度立ち止まって利用者の方たちなどの意見を聞き、プールが果たしている役割をもう一度検討すべきではないか。
町長:
温水プールは平成5年7月に総事業費2億4千500万円投じて完成。
収支は当初からマイナス。平成26年度から(株)太陽コミュニケーションズに指定管理料930万円で委託運営。
修繕料を入れると年間1千200万~1千300万円程度の運営費が必要。
建設から30年が過ぎ令和5年専門家による建物・機器等の劣化診断を実施。
主要構造体の劣化により利用者の安全確保が出来ないという結果であった。
全面建て替えには4~5億必要、経費も年間2千万円以上かかることになる。
阿武町として健全財政を維持し、現在の行政サービス水準を続けていくには、適切な取捨選択が必要と判断した。
新たに計画している施設に、現在の骨組みの集成材の使用が可能であるため建設費用が安価である。維持費も数十万円と大幅に削減できる。
Q.町道拡幅工事について
A.道路改良工事まで住民への説明の必要はない
問:
拡幅工事の測量が各地で行われている。しかし近隣の住民への説明会がされていない。
計画段階で地域での説明会を開くべきではないか。
町長:
これまで町道改良は地元からの要望や町の判断での危険個所の改良など町の判断で行ってきた。
道路新設工事については、近隣の住民対しての説明会も必要と思うが、道路拡幅工事については直接担当者への説明は必要だが、その他は必要ないと考える。
Q.「阿武風力発電事業」について
A.秋田の事故は遺憾である「HSE」社からの報告はない
問:
秋田市新屋にある海浜公園で起こった風力発電の事故は、風車の羽が強風で破損し落下、散歩中の男性を直撃する死亡事故が起こった。この件での町長の見解を求める。
また、HSE(株)が計画している風力発電事業は3月に環境調査が終了しているが、その後HSE(株)から何らかの報告があったのか。
加えて、HSE(株)が事業延長申請を資源エネルギー庁に提出し、2年間の延長が認められたことの報告があったか。
町長:
風車のブレード落下事故が発生し、人の命が失われたことは大変不幸なことであり、徹底した事故原因の解明と防止対策の検討が行われると認識している。
また2年間の事業延長については、令和4年の環境影響評価にかかる季節ごとの現地調査のお知らせはあったが、それ以外は特になかった。
今後の手続きは、環境影響評価準備書がHSE(株)から事前に公告、縦覧され、住民への説明会開催と言う流れになる。
その後、準備書に対して関係住民・関係市町長・知事・環境大臣等の意見を反映させた経産大臣の勧告が事業者へ行われ、修正された環境影響評価書が公告、縦覧される。
町としては、事業者から具体的なアクションがない状況で、手続きや判断も出来ない。今は待ちの姿勢である。新たな動き、展開があれば、報告を行う。