- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県阿武町
- 広報紙名 : 広報あぶ 令和7年10月号
Q.今後の農業の事業継承について
A.事業承継のための支援をできる限り行っていく
問:
急激に米価は高騰したが、様々な物、全ての経費も高騰しており、依然として稲作農家を継続することは、難しい。
後継者不足も顕著であり、そんな中、農業の事業継承が始まっている。この事は、今後のモデル事例になると思う。
町長:
今年、米の概算金が大幅に上昇し、消費者にすれば安い方が良いが一定水準の生産者米価の安定的確保は、再生産への投資による持続性の担保、地域農業の発展となる。
価格維持をすれば後継者は地方に残り、人口流失阻止の大きな力となる。
今回の件は、一筋の明かりが灯ったと感じている。
就農者支援について、数年前から事業継承者があれば、自分の持つ技術とハウスや栽培に必要な機械等を譲渡する旨の意向を農家から伺っていた。
町内の第1次産業において、高齢化と担い手不足が進行する対策として、令和3年から制度化。
町独自の制度である「阿武町がんばる農林水産業就業・経営等支援補助金」を活用されている。
これは、国や県の支援対象外の就業者を対象に、事業継承のための研修を受ける者に対し、年間90万円研修費を助成、指導農家に、年間12万円の指導費を補助する制度である。
施設や作物の栽培が継続できるよう、内容を柔軟に見直すことも視野に入れできる限りの支援をして行きたい。
▽松田穣(まつだみのる)議員
Q.キャンプ場や道の駅の現状は
A.経営方針の見直しや業務改善により生産性の向上を目指し給与待遇改善や福利厚生充実により魅力を高める職場を目指している。
問:
キャンプ場のオープン以降、年々、利用者、売上は減少傾向であり、道の駅とあわせての従業員数も減少している。
当初の手ぶらキャンプの様な付加価値を付けた販売プランや、そのための人員確保等、影響はないのか。
また、今後地域の雇用創出や地域活性化といった道の駅の役割を果たしていけるのか。
町長:
キャンプ場の利用状況は、残念ながら若干減少傾向だが、キャンプ場整備の検討段階で、当然予測しており、他にない魅力あるキャンプ場になるよう、「(一社)あぶナビ」がしっかり機能し、体験型コンテンツを充実させる事を考えていたが、まだまだ上手く機能していないと思う。
キャンプ場の運営は、損益差し引きゼロで維持し、縁側機能やキャンプ場利用者による道の駅や町内の商店での買い物、温泉利用による道の駅全体の売り上げ増加等、相乗効果を期待している。
経済効果がどの程度になるか、見える化し、事業効果を町民に説明する必要があると考え、現在「ABUキャンプフィールドが道の駅や町にもたらす経済波及効果」の算出を、「(一社)ちいき未来研究所」に業務委託し、検討が進んでいる。
また、道の駅の経営については、毎月、社長と定例ミーティングを行い、売り上げ状況等の報告を受け、必要により私も意見を述べている。
従業員数の減少については、社長交代による経営方針の見直しや、業務改善に着手した結果によるもので、各部署間の縦割りの硬直した体制の見直しで、人的経費を抑え、少しでも売り上げロスを減らすための、努力をしていると考える。
今後の人手不足や、最低賃金引き上げに対応するため、販売管理費の過半を占める人件費の適正化を図り、少数精鋭で業務が遂行できるよう、「人事生産性」の向上に注目し、業務の見直しや人員配置の変更など、筋肉質な業務改善を行った結果でもあり、給与待遇改善、福利厚生充実にも繋がり、魅力とやる気を高める職場を目指しているものであると考えている。
Q.無角和種の今後の展望について
A.増頭や畜舎の増改築については今後3年間の事業の中で飼育、経営面から適正頭数を見定め一定の目途が立った後に進めるべきと考える。
問:
ここ数年、無角和種の商品開発等、以前に比べて無角和種の名を目にする機会が増え、実際、出荷時の単価が上がった事や肥育状態も以前より改善されている話も聞く。
「無角和種を軸としたシティブランディング推進事業」により、今後、需要が高まると、それに対しての供給体制はどうなるのか、増頭や、その場合には畜舎の増築等も必要となるように思うが、今後どうなっていくのか。
町長:
今年度からの事業は、町の特産品の、無角和種を最大限に活用したシティブランディング(名産地化)を実現することで、他の農林水産物の消費拡大や観光拡大にも発展させることを目的にしている。
放牧肥育による「生産試験事業」、年2回の追加出荷により、流通や消費者のデータ収集を行う「テストマーケティング事業」、町特産品のバリエーションを増やすための、「端材利用開発テストマーケティング」の3つの検証事業により、繁殖牛、肥育牛の飼養頭数を、放牧地や草地など総合的に検討する。
そのようにして、飼育、経営面から適正頭数を見極めた上で、多大な経費が必要な、畜舎の増改築は、ランニングコストを含めて、相当の経常経費も必要となる為、一定の目途が立った段階で進めるべきだと考えている。
