くらし ほっとコラム

■次の100年に残さない部落差別
8月22日は、明治から昭和にかけて活躍した詩人であり小説家の「島崎藤村」の命日です。藤村の著作に、部落差別を題材にした「破戒」という作品があります。被差別部落出身を隠し生きてきた教師である主人公の青年が、様々な出会いや経験を通して差別と向き合う物語です。この「破戒」が1906(明治39)年に発表されてから100年以上が経過しているものの、題材となっている部落差別は現在も残ったままです。
もちろん、「破戒」が執筆された時代から様々な変化(進展)があり、全く同じ状況が続いているわけではありませんが、時代の変化に合わせ、部落差別は形を変え現在も存在しています。中でも、同和問題に対し誤解を招くような情報をSNSなどで発信することや動画投稿サイトなどで許可なく特定の地域を撮影し、被差別部落としてさらすなど、一瞬にして差別や偏見を拡散させる行為は特に問題視されています。
こうした状況を踏まえ、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現することを目的に「部落差別解消推進法」が2016(平成28)年に施行されました。部落差別は過去の出来事であり終わったもの、またそっとしておけば、いずれなくなっていく…そのようなものではなく、今もなお続く深刻な人権侵害の一つであることを示すため、“現在もなお部落差別が存在する”と同法に明記されています。日本で初めての人権宣言と言われる「水平社宣言」が出され、今年は103年目。水平社の“水平”には、「人間は生まれながらにして平等な存在である」という思いが込められています。その思いをしっかりと次の世代に受け継いでいくことが、次の100年先に部落差別を残さないための大切な行動ではないでしょうか。

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