くらし 特集 このまちで生きていく -新しい認知症観-(2)

◆人と話して前向きに
家族介護教室参加者
3年ほど前、主人が帰宅中に自宅の場所に気づかず通り過ぎたことがありました。その時は小さな違和感程度でしたが、今年に入り、友達に会いに出かけた際、帰り道が分からなくなり、近所の方や知り合いに助けてもらったこともありました。畑で野菜を作りご近所に配ることが好きで、料理や家事などもこなす器用だった主人。そんな状況に悲観にくれていましたが、カフェや家族介護教室で同じ境遇の方々との会話や専門家の方の話を聞くと、だんだん前向きな気持ちになりました。
今は、カフェの勉強会で聞いた接する時のコツの「やさしくする、叱らない、焦らない」を心で唱えながら一呼吸。まずは理解することが大事なんだと思います。

◆体を動かして笑って元気に
認知症地域支援推進員 堀本眞貴子さん
私は、認知症地域支援推進員として八幡浜市認知症カフェ「ほっとポットカフェ」の代表(通称店長)として活動しています。
また、義母の介護をしていた時、保健センターの保健師さんに誘われて「家族介護教室」にも参加するようになりました。家族介護教室は、認知症について理解している仲間たちの集まりです。その時には解決しないかもしれないけれど、皆が受け入れてくれて、想いを吐き出してすっきりできる場です。「皆も頑張っているんだな」「こういうやり方があるんだな」と、優しい気持ちになって帰れます。
ほっとポットカフェも同じで、認知症の人や介護している家族、支えてくれるさまざまな人たちの話を聞くことができる場所です。皆で勉強して、おしゃべりをして、体を動かして、笑って…。そうすると自然と心と体が温かくなります。気構えず自然体のまま、お気軽にお立ち寄りください。

▽認知症サポーターとは…
認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族を温かく見守る「応援者」のことです。
認知症サポーターになりたい方は、地域包括支援センターにお問い合わせください。サポーターになるための講座を受ければ、あなたも認知症サポーターになれます。小中高校生のサポーターも募集中です。
講座を修了した方には、オレンジリングをお渡しします。

オレンジリングは、認知症サポーターの証です。

◆当事者の方に話を伺いました。
▽気にかけてくれるそのことが嬉しい
令和6年に脳梗塞が再発し、徐々に認知機能の低下が見られるようになったAさん。Aさんの妻も両足の病気で短期入院が続くなど、さまざまなことが重なる中、二人を支えたのが妻の妹でした。
三人は包み隠さず生の声をたくさん話してくれました。Aさんの過去の仕事や知人の話での妻や妹との会話はまるで掛け合いのよう。また、定期的に通うデイサービスで興じるゲームで良い成績を残したことや、ひ孫の写真に毎日声を掛けることなどをとても楽しそうに話してくれました。家での役割は、お風呂のお湯入れや玄関のカギ閉めなどを担当しているそうです。妻は、自身の病気も重なり、塞ぎ込みがちでしたが、妹の助けや仲間からの声もあり、一度は諦めていた大好きな趣味活動を再開。以降、とても充実した日々を送れるようになりました。そして、二人に遠慮なく接してくれる妹の助けはなくてはならないものになっています。

▽安心して住み続けられるまちへ
Aさんは言います。
「家族の支えはもちろん、地域の方が普段通りに声をかけてくれたり、当たり前に接してくれることが嬉しい。」
認知症になっても、ありのままに。特別な目を向けるのではなく、変わりなく地域の一員として受け入れることが、誰もが安心して住み続けられるまちづくりとなるのではないでしょうか。

■認知症予防講演会「認知症とは・予防するには」
~明るく・頭を使って・あきらめない~
※参加費・申込不要
日時:11月2日(日)10:00~12:00
場所:八幡浜商工会議所 5階大ホール
講師:増田末知子(一般社団法人スリーA 増田方式研究所 名誉理事長・スリーA予防デイサービス折り梅 所長)
主催:認知症の人と共に笑顔で暮らせる地域づくりの会
後援:八幡浜市地域包括支援センター

※毎月交互に開催している「家族介護教室」と「ほっとポットカフェ」の開催日は、毎月の広報(9月予定は本紙P18)に掲載しています。
※9月21日(日)には認知症がテーマの映画「オレンジ・ランプ」が上映されます。
詳しくは本紙P20をご覧ください!

問い合わせ:八幡浜市地域包括支援センター(保健センター3階)
【電話】24-3918