- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県上島町
- 広報紙名 : 広報かみじま 2025年7月号
■上弓削の古い町並み→上弓削田坂家住宅→願成寺
(1)第3回史跡弓削島荘遺跡探訪・散策講座
上弓削の古い町並みを巡りながら、中世の石造物を探してみよう!
(2)令和7年5月11日(日) 10:30~12:30
(3)上弓削の古い町並み、上弓削田坂家住宅、願成寺など
(4)一般参加者数 42名
◇上弓削の古い町並みを巡りながら、中世の石造物を探してみよう!
5月11日(日)、弓削島の上弓削地区において、第3回史跡弓削島荘遺跡探訪・散策講座が行われました。
本講座は、町民の皆さんとともに国史跡に指定されている弓削島荘遺跡について学び、その保存活用を考えるきっかけとするために継続的に開催しているものです。
講座では、「上弓削の古い町並みを巡りながら、中世の石造物を探してみよう!」と題し、上弓削地区において、明治時代~昭和初期の建造物が遺る古い町並みや弓削島荘遺跡の構成資産(史跡指定地)である願成寺を散策しました。各所で町教育委員会の学芸員がこの地に見られる中世石造物の特徴や荘園時代からの歴史について解説しました。
上弓削地区は、鎌倉時代に大串(おおくし)方と呼ばれた場所であり、ここに地頭の居館がおかれていたと推定されています。江戸時代になると、今治藩の本陣(参勤交代の宿舎、御茶屋)が上弓削港に近い庄屋田頭家の屋敷に設けられました。
この日は、上島町老人福祉センターを出発し、土蔵が遺る本陣跡から古い町並みを通り、国登録有形文化財(建造物)「上弓削田坂家住宅」に向かいました。上弓削田坂家住宅では、所有者のご厚意により棟札(むなふだ)を見ることができました。その後、願成寺では、令和6年度上島町文化財講座で講師を務められた黒川信義氏(伊方町文化財保護審議会会長)に「五輪塔・一石五輪塔の見かた」についてわかりやすく解説していただきました。
当日は町内外から多くの方々にご参加いただき、町並みを散策しながら先人が紡いできた歴史文化の尊さと素晴らしさを肌で感じることができました。参加者からも「今まで気付かなかった地域の魅力にも触れることができて、散歩がより楽しくなりそう。」「他の地域のことも知りたい。」「地域を学ぶことを継続的に行いたい。」といった感想をいただき、今回の講座は盛況のうちに幕を閉じました。
次回の探訪・散策講座にもご期待ください。
※上弓削散策ルートは本紙をご覧ください。
(1)庄屋田頭家・本陣跡(昭和31年頃撮影)
江戸時代、上弓削港は今治藩が参勤交代を行う際の寄港地となったことから、藩主の滞在用に御茶屋と呼ばれる本陣が設けられました。
(2)上弓削の古い町並み
古い町並みを形成している主な民家は明治時代~昭和初期に建てられたものであり、「なまこ壁」や「腰なまこ」、「飾り瓦」のある建物も見られます。
(3)上弓削田坂家住宅(国登録有形文化財)
棟札によると、「主屋」は大正6年(1917)の建築であることがわかり、付属する「土蔵」、「門及び塀」も同時期に建築されました。
(4)願成寺(史跡弓削島荘遺跡の構成資産)
願成寺は、14世紀初頭に行われた下地中分で地頭分とされた大串方の中心寺院でした。山門近くの花崗岩製の五輪塔火輪や集合墓地の笠塔婆(かさとうば)など、境内やその周辺には中世石造物が散見されます。
(5)上弓削の雁木
上弓削港の近くには石積みの雁木が遺されており、かつての港の情景を想起させます。階段状の岸壁である雁木は、潮の干満差が大きい瀬戸内海の港町における非常に重要な施設でした。
願成寺での黒川信義氏による中世石造物の解説
上弓削地区では多くの中世石造物の部材が確認されており、荘園時代の集落の様相を知る手がかりとなっています。
※詳細は本紙をご覧ください。