- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県上島町
- 広報紙名 : 広報かみじま 2025年11月号
■ソラマメの栽培管理
ソラマメは、莢(さや)が空に向かって付くことから名付けられたマメ科の植物で、一寸蚕豆と呼ばれる大粒種が多く栽培されています。小粒種は香川県の醤油豆やイカリ豆など加工品や菓子の原料として利用されます。今回は大粒ソラマメ(一寸蚕豆)の栽培ポイントについて解説します。
〔1〕種まきのコツ
ソラマメの発芽適温は25℃~15℃で暑くても寒くても発芽率が低下するので10月中旬~11月上旬がまき時です。種は、畑に直(じか)にまいても鉢(ポリポット)で苗を育てて移植することもできます。種まきのコツは、ソラマメの種は大きいので発芽には酸素と水分が必要なため土中深くに埋めると酸欠で発芽率が低下します(種が腐る)。種まきはオハグロを下にして種のお尻がわずかに見えるよう土に差し込むようにまくと発芽率が向上します。あとは加湿にならない程度に水やりを行い発芽を待ちます。
〔2〕着花・着サヤ促進のコツ
1月頃から株元から側枝が出始めます。放置すると1株に10本以上が茎立ちするため、茎が込み合い放置すると株元の通風や日当たりが悪く、花付きが少なくなります。茎が40cm程度に伸びた頃に成長のよい茎を1株に6~8本程度に残して株の中心に土を載せ株を開かせ、左右に茎を誘引します(図1参照)。
誘引線(ひも)は幅50~60cmに約1m間隔で対に支柱を立てて横ひもを2段から3段張ります。茎が倒れないように茎は誘引ひもに固定しますが、ひもを2本張り、茎を挟んでところどころを結わえると効率的に茎の固定ができます。整枝と誘引を行うことで開花が早まり、内側に向いてさやの着生が多くなります。
また、最初の開花位置から10葉程度が展葉したら茎の先端を摘芯します(図1参照)。摘芯することで茎の伸長を止めて茎の生育やさやの肥大を促進できます。
※詳細は本紙をご覧ください。
〔3〕栽培上の注意
(1)アブラムシの防除
ソラマメはアブラムシによりウイルス病が伝染しやすい作物です。ウイルス病の症状は、葉のモザイク症状や赤褐色の壊疽(えそ)の発生、葉が縮んで茎の伸びが悪くなります。一度感染すると治ることはないので発生株は早めに抜き取ります。対策として、アブラムシが発生したら農薬防除を行う。また、植え付け畝にシルバー(銀色)マルチや銀色のテープを植物上に張るとアブラムシの飛来が減ります。春季のアブラムシの発生は摘芯をすることで発生が減少します。
(2)連作は行わない
一般にマメ科の植物は連作を嫌います。連続して同じ場所で栽培すると生育が悪く、病害(立ち枯れ病)が発生しやすくなります。できるだけ連作は避けましょう。
(3)施肥
マメ科の植物は空気中の窒素を固定するため施肥は控えめにしますが、ソラマメは野菜に近く植え付け前の基肥(もとごえ)とさやが付き始めてから追肥を与えます。大きな実にするために追肥は重要です。マルチをしている場合はマルチの外側に施肥をするとよいでしょう。
(4)鳥獣被害
イノシシやタヌキの侵入対策だけでなく、カラスも成熟したソラマメを食害しますので、収穫期までに防鳥網やテグスを張り、被害を受けないように対策を行いましょう。
