くらし 令和7年 第3回定例会(2)

さて、国の来年度予算概算要求基準が8月8日に閣議了解されました。石破首相は先日の9月7日に退陣を正式表明されましたが、来年度予算は石破政権肝煎りの賃上げや物価高対策を含む「重要政策推進枠」を前年度当初予算の2割増しの2兆8000億円を要望可能とし、更には要求段階で金額を具体的に示さない「事項要求」も引き続き認められています。これらの方針により、要求総額は過去最大で、初めて120兆円を超えたことから、例年以上に厳しい予算編成が予想されます。
上島町においては特に国民生活を圧迫している物価高騰対策には引き続き注視し、適宜適切に対応してまいります。
一方、上島町の令和6年度決算における上島町の財政状況ですが、地方公共団体の財政が健全かどうかを判断する4つの指標の中にある、公債費への財政負担と資金繰りの程度を示す「実質公債費比率」は、14・4%となり、前年より0・7%増となりました。増加の要因としては、令和元年度最終処分場整備事業、令和2年年度長崎桟橋整備事業等の償還開始にともない、元利償還金の額が増加したこと、臨時財政対策債発行可能額が減少したこと等によるものです。
この14・4%という数値は、国が示す早期健全化基準25%や地方債を借り入れる際に県の許可が必要な団体となる18%を下回っており、健全な数値を示しておりますが、将来的に財政構造の硬直化を招かないよう、今後も地方債の新規発行抑制に努めてまいります。
また、7月29日に愛媛県より普通交付税額の決定通知があり、令和7年度の上島町への普通交付税は33億3310万3千円で、前年度比5405万1千円、1・6%増となっています。その要因としては、地方公務員の給与改定に要する経費や、地方公共団体の施設の光熱費と管理委託料の増加に対応した算定等によるものです。
なお、臨時財政対策債については、地方税収の増等による財源不足額の解消により、平成13年度の制度創設後初めて発行されないこととなりました。
基金残高については、令和6年度において約3億円の取り崩しがありました。主な要因としては、人事勧告にともなう給与改定および会計年度職員の勤勉手当支給等にともなう人件費、公債費等の義務的経費の増加および企業会計への繰出金が高止まりしていることが挙げられます。ただ、地方債残高は令和2年度から6年度までに約30億円減らしており、厳しい中でも健全な財政運営に努めています。
今後は、これまで以上に、行財政改革に取り組むことで、町民の皆さまの楽しみを持続させることはもちろん、将来の子ども達にも明るい未来を残さなくてはなりません。
そのためにも、限られた財源の中で、安定的な行財政運営に努めるとともに、独立採算が原則である企業会計の使用料の見直しにも着手する必要があります。
特に、財源補てんのために一般会計からの多額の繰入金を必要としている下水道事業会計については、料金改定の検討が必要です。改定スケジュールについては、令和6年9月議会予算決算委員会でお示ししたように、今年度策定する経営戦略において、中長期の財政見通しを立てたうえで、料金水準の見直しを検討しています。今後、令和8年度に審議会の開催や議会説明、住民周知を行い、令和9年4月から使用料の改定を行う予定としています。
このように、来年度や将来的にも町民の皆さまに痛みをともなう施策を提案する場面も出てくると思われますので、議会や町民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
結びに、今年の夏の甲子園が例年以上に盛り上がったように、上島町においても「イワキテック硬式野球部」が躍進しています。
東京ドームで開催される都市対抗野球の四国予選決勝では惜しくも代表を逃しましたが、イワキテック所属の吉尾竜一捕手が四国代表JR四国の補強選手に選ばれ全国大会に出場します。また、9月13日から愛媛県内で開催される全日本クラブ野球選手権大会には、四国地区代表として出場し、全国の強豪チームと対戦することになりました。
自転車新文化が提唱している理念のように、スポーツは単なる競技ではなく、「健康」「生きがい」「友情」はもちろん「感動」も与えてくれます。
これからも「イワキテック硬式野球部」の活躍を期待し、町民球団として応援していくとともに、町民の皆さんの「生きがい」を追い求めたいと考えています。

上島町長 上村俊之