文化 【ふるさと魅力発信】久万美術館

■久万美コレクション展 新たな一歩 愛媛現代美術家集団の軌跡-4
愛媛現代美術家集団(通称・現美)の出品作家の一人に、砥部焼の名工として知られる工藤省治(1934〜2019年)がいます。青森出身の工藤は、1957年に砥部の窯元「梅野精陶所」に入所しました。そこで陶芸を学び、後に自身の窯「春秋窯」を開きます。彼が考案した「唐草文様」は、現在、砥部焼を象徴するデザインのひとつとなっています。
さて、皆さんは砥部焼と聞いてどのような焼き物を思い浮かべるでしょうか。工藤が考案した唐草文様のほか、白磁に濃紺の絵付けがされていることや、厚手で重たく、落としても割れにくい器であることが挙げられるでしょう。確かに、これらは砥部焼の代表的な特徴ですが、江戸時代から続く砥部焼の歴史の中では、多様な表現が生み出されてきました。例えば明治時代には淡い黄色の磁器や、赤や緑、金などの色鮮やかな絵付けが施された瓶なども作られていました。
本展では、工藤が制作した砥部焼に加え、当館所蔵の江戸時代〜昭和初期の砥部焼を並べています。ぜひ、工藤の作品と歴史的な砥部焼を見比べて、その違いや魅力を発見してみてください。 (本田)

▽学芸員のつぶやき
工藤は金属やガラスなどを組み合わせた立体作品や、油彩、版画などを現美に出品していました。工藤の多彩さが伺えます。

問い合わせ:久万美術館
【電話】21‒2881【HP】http://www.kumakogen.jp/site/muse/