- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県伊方町
- 広報紙名 : 広報いかた 2025年4月号
■人権に関する用語の基礎知識 その(2)「漢字編パートII」
『全国高等学校統一応募用紙』(ぜんこく こうとうがっこう とういつ おうぼようし)
「春は出会いの季節」です。この春に高等学校を卒業した子どもたちも、社会に出て、職場や学校で新たな出会いをすることでしょう。令和6年3月には、愛媛県内の高校を卒業した9904名のうち、1813名が就職しています。
日本国憲法第二十二条
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
現代を生きる私たちは、どのような職業でもそれを選び、それを目指すことができる権利を有しています。皆さんもご存じのように、公務員や一般会社の採用試験を受ける時には、就職希望者が応募用紙を提出します。採用する側は、応募用紙の記載内容、試験や面接の結果などを総合的に判断して採用を決めます。
しかし、1970年頃までは、一部の会社で、応募用紙(各会社が独自で作っていた応募用紙)に書かれてある内容によって合否を判定するような実態がありました。それは、本籍地、現住所、親の職業・資産、宗教など、本人の能力や適性とは全く関係のないことによる差別選考でした。そして、そのような就職差別により、自分の望む職業に就くための十分な能力や適性があっても、就職できずに悔しく悲しい思いをする生徒が存在していました。
そこで、そのような就職差別をなくすために、統一応募用紙の必要性を訴える運動が広がり、1973年に、当時の文部省が「全国高等学校統一応募用紙」を使用するように通達を出しました。その後、本籍地や家族構成、保護者名等の記載欄が削除されるなど、時代に即した改定がなされて、就職差別につながる項目が次々と無くされました。令和8年3月卒業生が使用する統一用紙からは、性別欄も削除されます。ちなみに、現在伊方町が使っている応募用紙には、すでに性別欄がありません。
このように、私たちの職業選択の自由の権利を守る活動の一環として、この「全国高等学校統一応募用紙」が使われています。