くらし 特別インタビュー企画第2弾

■同級生が紡いでいく「en」~つながり、広がる音の輪~
本市の「直方商店街」で活躍している人や団体を特集する特別企画。今回は、小学校からの同級生同士で始めた音楽&フードイベント「en~音の輪」のメンバーに、開催のきっかけから今後の目標まで、メンバーの「縁」について伺いました!

「en~音の輪」とは?
古町にある圓徳寺を舞台とした食や音楽のイベント。「en」という言葉は様々な縁が生まれるようにと名付け、令和5年から毎年春に開催。

○メンバーを結ぶ「en」
―皆さんがどのように出会い「縁」をつないできたのかを教えてください。
(桑野)祝丸とは少学生の時、二人で教室で熱唱する仲でした。
(祝丸)桒野が歌っていた曲が気になって、それを完璧に歌えるようになるぞって意気込んで。気がつけば夢中で二人でハモってた。栗山さんとはイベントで知り合い、同じ中学の後輩と知って驚きましたね。
(栗山)そうでしたね。当時は、学年が違ってもみんなで、公園やお寺、商店街等のまちなかで遊んでいましたね。
(祝丸)にぎわっている商店街の近くに住んでいる二人が羨ましかったです。今こうしてこの街で一緒に活動していることは、当時の僕が憧れていた景色です。
―祝丸さんと菜美さんはどのように出会ったのですか?
(祝丸)新潟県の佐渡島に有名な太鼓チームの研修所があるんですが、相方(菜美さん)とはそこの同期として出会い、お互い張り合うように練習しました。
(菜美)厳しい研修生活で出会って、それからずっと一緒ですね。
―まさに縁で結ばれていますね!

○思いが重なり始まった「en」
―「縁」がつながった皆さんがイベントを開催する経緯は何だったんでしょうか?
(祝丸)研修所を卒業後は関西を拠点に21年間活動していますが、いつも心のどこかに直方の街の景色があり、地元に寄与できることはないかと考えていました。令和4年夏の帰省の折にバッタリ再会した桒野と飲みに行き、彼が商店街などで地域を支える活動をしていることもあり意気投合しました。そこから一気に企画が生まれ、令和5年の春に幕が上がりました。
―「縁」が二人をまた引き寄せたんですね。開催場所を圓徳寺に選んだのはなぜなんでしょうか?
(栗山)新型コロナウイルスが流行して、地元のにぎわいだけでなくお寺の行事も小規模になったことを嘆いていました。そんな時、桒野さんから「イベントで寺を使わせてほしい」と言われました。何かできたらと思っていたタイミングでの相談だったので、「ご縁だな!」と思い、嬉しくて二つ返事で承諾しました。
―思いがカチッとはまるタイミングでしたね。菜美さんはこの話を聞いた時どう思いましたか?
(菜美)私は愛媛県の出身ですが、昔の街並みやレトロな商店街が大好きなんです。しかも演奏依頼の仕事ではなく、祝丸の地元の方々と共にイベントを作り上げていくことに魅力を感じ、きっと面白いことになる!と思いました。

○「en」が目指すモノ
―ここ数年、イベントを通して地域の活性化に尽力していただいている「en」のこれからの目標を教えてください!
(桑野)巣立って行った人の居場所や、祝丸のようなアーティストが表現できる場所を作って、それを見た子どもたちが何かを感じ取ってくれたらいいなと思います。そして、地域に浸透していってほしいという思いです。縁あって、昨年からイベントのチラシは同級生であるお絵かきクリエイターまりえさんに描いてもらっています。
(祝丸)今はもうあの頃のように無邪気に遊んでいられる訳じゃないけど、こどもが全力で遊んでいるかのように大人が大マジメで打ち込んでいる姿を見せたい。その結果として僕の好きな直方や愛おしい商店街のより良い未来につながることがあれば素敵だなと思っています。
(桑野)ふと思い返せば、数年前に祝丸と話した時から、私たちの活動の拠点は圓徳寺を思い描いていたんだと思います。
(栗山)en~音の輪のイベントを通して、多くの出会いがあり、またお寺の新たな可能性も感じました。先達方のおかげで、この地に長年護持されてきたお寺として、これからも色んな形で地域に貢献できればと思っています。

―以上でインタビューは終了です。本日は貴重な時間をありがとうございました!
インタビュアー 甲斐(商工観光課商業観光係)

菜美(なみ)さん(愛媛県出身)/祝丸(のりまる)さん(直方市出身)
‘04年和太鼓デュオ「黒拍子」結成。近年の主な活動として、山蔭神齋80世・創生神楽宗家である表博耀と共に全国で「創生神楽」を奉納。
シンセサイザー音楽の第一人者喜多郎と共に東南アジアツアーへ参加。キーボーディスト平沼有梨・バイオリニスト古澤巌と共にNHK「京都二条城の桜」生中継に出演。日本の太鼓と小鼓による音楽を主軸とし、独自の演奏スタイルと即興性を持つ邦楽に捉われることのない活動は、観るものに新たな日本の風景を提示する。

栗山敬真(くりやまきょうしん)さん(直方市出身)
昨年、開基400年を迎えた浄土真宗本願寺派寿光山圓徳寺の23代目住職。
令和元年に住職を継職。祝丸さん、桑野さんの中学校の後輩。イベントでの出会いをきっかけに交流が始まった。

桑野修一(くわのしゅういち)さん(直方市出身)(有)明治屋食料品店代表取締役。2009年に直方市へUターン。家業の他、“次世代につなぐ街へ”の想いで地域行事の参加や地域イベントを企画。祝丸さんとは、小学校からの旧友。

※「桑野」の「桑」は環境依存文字のため置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。