くらし 終戦から80年 平和について考える

戦争の記憶が徐々に遠のいていく中、次世代を担う子どもたちに、平和の大切さを伝える「平和学習」が各学校で行われています。
終戦から80年を迎えた今年、泉中学校では、生徒会が中心となって平和学習を企画。年々、戦争体験者の話を聞くことが難しくなっていく中、生徒たちは自ら資料を集め、実際に遺跡を訪れ、スライドを作成しました。
平和学習当日、全校生徒に向けてスライドに沿って発表が行われました。「自分たちの年齢でも兵隊など労働者として働かされていた」「実際に遺跡を見ることで理解が深まった。皆さんもぜひ見に行ってほしい」など、同世代の生徒たちが率直な感想とともに進める学習は、全校生徒の心にも響いている様子でした。
「最も怖いのは、平和について無関心であること、忘れること」と福羽校長がお話しされていましたが、今回の取り組みは、平和について考え、語り継ぐことに繋がるものとなったのではないでしょうか。このような取り組みが広がっていくことを願います。

今回、泉中学校生徒会の皆さんよりお話をいただき、稲童地区に残る戦争遺跡の案内をし、8月6日の「平和学習」では最後に感想を述べさせていただきました。
戦後80年が経過し、戦争体験者の高齢化が進み、実体験としてお話を伺う機会が少なくなってきました。戦争体験者は「語り部」として活動をしてこられ、被爆者の全国団体である「日本被団協」(日本原水爆被害者団体協議会)が、昨年ノーベル平和賞を受賞したことはまだ記憶に新しいことだと思います。
これからは私たちが「語り部の語り部」として、戦中・戦後の労苦を、戦争を全く知らない次世代の方々に伝えていき、「戦争と平和」について考える機会をもつことが肝要です。今回の泉中学校生徒会の皆さんの自主的な取り組みは、それを体現したものと評価できるでしょう。
文化課文化財保護係長 学芸員の山口さん